研究課題/領域番号 |
22K02109
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 佐賀県工業技術センター |
研究代表者 |
吉村 臣史 佐賀県工業技術センター, 食品工業部, 特別研究員 (30505722)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 機器分析 / 風味評価 / フードメタボロミクス / 官能評価 / 統計解析 / 食品風味 / おいしさ / 客観的評価 |
研究開始時の研究の概要 |
食品の風味は、広く官能試験により評価されている。官能試験は、パネラーの習熟度や主観性の影響を受け易い。そのため、同じ食品に対する官能試験を複数回実施した場合であっても、試験者や試験時期の違いにより、得られた結果を単純比較することは困難な状況である。 食品開発や流通の分野では、消費者に対して食品の風味を客観的かつ視覚的に示すデータのニーズが高まっているが、評価できる分析技術の確立に至っていない。 本研究では、食履歴の深い食品をモデルとし、メタボロミクス解析を応用した食品の機器分析結果を活かした客観的評価技術の構築に資する研究開発を行う。
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研究実績の概要 |
消費者が食品を選択する上で「おいしさ」等の風味は重要なファクターとなる。製品開発や流通等において、風味に係る視覚的データのニーズはあるものの、大部分は専門家による官能試験の結果や非破壊分析によるデータが多く、消費者が食品全体の風味を容易に想像できるデータとは言い難い。 食品の風味評価に関しては、成分分析による評価(特定の成分に関する苦み等の風味特徴)又は味覚認識装置による評価があげられる。前者は成分の特徴は示すものの該当する食品の風味を必ずしも示していないこと、後者は旨味等ほ味の方向性は示すもののどのような成分が関与しているのか不明であること、など一長一短がある。より正確な「おいしさ」の評価を行うためには、得られたデータと官能評価における表現との相関性を十分に吟味することが肝要である。本研究では、官能評価と機器分析の結果を繋ぎ合わせることにより、食品風味の可視化に資することを目的とする。 評価系を確立するためにモデル食品を設定している。モデル食品の一つである海苔について、その香りの評価を検証した。まず、官能評価への参加承諾を得たパネラー(18名)に 海苔(11種類)の風味に関する官能評価を行った。その後、海苔の香気(正確には揮発性成分)をGC-MSにより分析し、得られたデータに対するノンターゲット解析を行った。 GC-MS分析から、421のピークを検出できた。主成分分析の結果から、官能評価において高評価を受けた群及び低評価を受けた群に分けることができた。課題として、両グループともグラフ上比較的広い範囲に分布していることであった。そこで、部分的最小二乗判別分析に供したところ、一定の領域に高評価を受けた海苔が集約され、それ以外の海苔は周辺に分散した配置される傾向が確認された。 今回は単年度に得られたサンプルに対する結果であり、次年度以降同様に検証し評価系の構築を図りたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、被験試料を固定している。それぞれの研究年度において得られた試料に対し、年度間の誤差等の影響を加味した評価系の構築に繋げることを目的としている。 初年度として、一部課題が残っているものの、おおむね順調に進展しているものと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
【研究の進め方について】モデル試料として設定しているサンプルに対して、研究期間内各年度において着実にデータを採取し積み上げていくことが、本研究において最も重要である。今後においても、スケジュールに沿ったモデル試料の分析や官能評価等を行い、主観的要素である「官能評価の結果」と客観的要素である「機器分析の結果」の相関性を明らかとし、食品風味と風味に寄与する成分の明確化、その解析手法の利用可能性の検証等を行っていくこととしている。 【研究計画の変更】予定はない。 【研究を遂行していく上での課題等】香りの評価に対しては、基本的に前処理が簡便であり分析条件の設定が容易であったが、味の評価については、液体クロマトグラフにおける制限等があることから、被験試料の特徴を踏まえた前処理が必要となる。ヒューマンエラーの除外や簡便な分析の実施のために、また分析数が非常に多くなることから、可能な限り煩雑な前処理を省きたいところである。適切な前処理を講じることによって、安定性の高い分析が実施できるように工夫したい。また、本研究では、どのような統計手法を駆使するかも重要なポイントとなってくることから、適切なデータ解析が行われるように統計解析手法の検討を継続的に行っていきたい。 サンプルの調達にあたっては、順調に対応できているものと考えているが、モデル試料を調達するうえでの最適な時期(果実の適期等)を見誤らないように注意を払っていきたい。
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