研究課題/領域番号 |
22K02119
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
|
研究機関 | 大分県立看護科学大学 |
研究代表者 |
定金 香里 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (20322381)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | アレルギー性喘息 / フラボノイド / ヘスペリジン / ナリルチン / ショ糖 / 抗アレルギー作用 / 複合摂取 / 甘味料 / 相乗効果 |
研究開始時の研究の概要 |
フラボノイドの抗アレルギー作用に着目した機能性飲料が多く製造されているが、複数のフラボノイドを同時に摂取した時の効果や、添加している糖分がフラボノイドの作用に及ぼす影響は不明である。本研究では、ユズ果皮に多く含まれているフラボノイドの複合摂取による相乗・相加効果、各種甘味料によるフラボノイド抗アレルギー作用に及ぼす影響を、アレルギー性喘息モデル動物を用いて検証する。この研究によって、より効能の高い機能性飲料の開発を目指す。
|
研究実績の概要 |
ユズ果皮中に含まれるフラボノイドの抗アレルギー作用を活用した機能性飲料が開発されているが、それらは通常、フラボノイドの苦味や果汁の酸味を抑えるため、加糖されている。しかし、最近、ショ糖の摂取が好酸球の脱顆粒を促進し、アレルギーを悪化させるという実験研究が報告された。このことから、加糖によりフラボノイドの抗アレルギー作用が影響を受ける可能性が考えられた。そこで、フラボノイド(ナリルチン:300 μg/回、またはヘスペリジン:200 μg/回)とショ糖(5、15、45w/v%)を混合して2、3日おきに計12回、経口投与し、フラボノイドの抗アレルギー作用がショ糖によって阻害されるか、モデル動物を用いて検証した。その結果、高濃度のショ糖とナリルチンを摂取したマウスの気管支肺胞洗浄液中で、ナリルチン単独よりも好中球遊走活性因子であるKC産生量が上昇していた。ヘスペリジンでも同様の結果が得られた。また、ナリルチンとショ糖を投与したマウスでは血中IgG1値もショ糖の濃度依存的に上昇した。一方で、アレルギー炎症の主体である好酸球数および好酸球を活性化させるIL-5やIL-13においてはショ糖による影響はみられなかった。以上の結果から、本実験で用いたショ糖の濃度や摂取回数では、ナリルチンやヘスペリジンの抗アレルギー作用を大きく阻害することはないものの、ショ糖摂取群でアレルギーを示すいくつかの指標において悪化傾向がみられ、フラボノイドの効果が若干、抑制されることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、ナリルチンとヘスペリジンの混合溶液にショ糖を添加する予定であった。しかし、初年度の研究結果で、ナリルチンとヘスペリジンを複合投与した際の影響は相乗的ではなく相加効果であることが示唆された。そこで、ショ糖の抗アレルギー作用への影響についてもそれぞれ単独で検討する必要があると判断し、研究計画を変更した。本年度は変更した計画で実験を行ったが、変更後の計画通りに実験を遂行し、採取した生体サンプルの解析も終了した。現在、成果発表の準備を進めていることから、おおむね順調に進展していると評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の結果から、ショ糖摂取はフラボノイドの抗アレルギー作用を大きく阻害しなかったものの、いくつかのアレルギー指標では増悪傾向をもたらした。そこで最終年度では、フラボノイドの抗アレルギー作用を阻害しない糖を探索する。検討する糖は、少糖類としてオリゴ糖(ラクトシルフルクトシド)、糖アルコールであるキシリトール、非糖質系甘味料であるステビア(ステビオシド)とする。また、当初計画では、ナリルチンとヘスペリジンを混合してマウスに投与する予定であったが、前述の通りフラボノイドによる抗アレルギー作用に相乗的な効果が認められなかったため、それぞれ単独で糖添加の影響を検討することとする。 卵白アルブミンをアレルゲンとしてアレルギー性喘息を発症させたマウスに、ナリルチンまたはヘスペリジンに各種糖を添加した試料を計12 回、経口投与する。その後、マウスから気管支肺胞洗浄液、肺組織、血清を採取する。気管支肺胞洗浄液中に含まれる炎症細胞数、炎症に伴って産生量が増加するタンパク質量、および血清中の抗体量の測定、また肺組織の観察から、各試料を摂取したマウスのアレルギー病態を比較する。
|