研究課題/領域番号 |
22K02123
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 東京家政学院大学 |
研究代表者 |
山村 明子 東京家政学院大学, 現代生活学部, 教授 (60279958)
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研究分担者 |
太田 茜 東京家政学院大学, 現代生活学部, 助教 (70369560)
青木 美保子 京都女子大学, 家政学部, 教授 (80390102)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 着物 / 復古調 / 正月 / 婚礼 / 北九州 / 成人式 / 花魁 / 若者 / 振袖 / 儀礼 / ファッション |
研究開始時の研究の概要 |
現代の着物は特に1990年代以降は新たなデザイン及び素材や技術が提案・導入されてきても、着物文化の研究は伝統という視点にとらわれる傾向にあった。本研究では研究対象を、「第二次世界大戦以降の日本の着物文化の若者ファッションとしての変容」とし、現代の着物文化を若者ファッションの観点からとらえる。方法は文献調査(業界誌・紙、ファッション誌等)と、現代着物の技術に関する聞き取り調査及び、若者を調査対象とする振袖についての官能評価である。若者の着物が儀礼の場においてファッション化している実態を分析し、「現代の若者着物論」を構築することと、若者の志向を明らかにすることである。
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研究実績の概要 |
本研究課題は現代の着物文化を若者ファッションの観点からとらえ、分析することを目的としている。2022年度では(1)戦後の着物文化の再興を1950年代の復古調ブームへの着目(研究代表者)、(2)現在北九州を中心に展開している特徴的な成人式の装いの調査(研究分担者)を行い、特徴的な花魁風の着こなしについて分析した。何れも国際服飾学術会議(主催:国際服飾学会、2022年8月開催)にてポスター発表を行った。 (1)1940年代末には日本文化への回帰を意味する「復古調ブーム」がおこった。これは服飾の流行というよりも思想的な側面が強かったが、結果として服装にも影響を及ぼした。その中で、正月と婚礼の事象について検討した。①正月:1948年に制定された祝日法にて正月は国民の祝日と位置付けられ、日本を意識する日として国民に再認識されている。着物だけでなく日本髪が日本のかつての姿の象徴として認識されるに至った。②婚礼:1950年には皇族の結婚も契機となり、結婚ブームがおこった。婚礼衣裳には昔ながらの振袖高島田が好まれた。さらに、旧来は武家階級の衣裳であった打掛は、1950年代には「復古調」のイメージと共に、一般的な婚礼衣裳となった。非日常着となった戦後の和装だからこそ、身分や経済性とは関係のない衣裳選択が行われるようになった。 (2)花魁風着付け:花魁スタイルは、帯の前結びに加え、3つの要素の組み合わせによって分類できる。北九州市の新成人にインタビューした結果、花魁スタイル自体については興味を持ち、好意的である。しかし、花魁風の着物を着て成人式に出席する新成人は少ない。 また、成人式の写真を掲載したパンフレットには、前撮りでの花魁の着物姿は一定数あったものの、会場前でのスナップ写真では2016年以降減少傾向にある。 特に肩を露出する参加者は減少傾向にあり、志向の変化が読み取れた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献調査は順次進めており、新たな分析対象なども見いだせている。 一方、若者の着物に対する意識を官能評価実験で分析する予定であるが、実験試料の調達などを進めている段階で、計画の立案、着手には遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には文献調査をもとに、1960・70年代の若者の晴着文化についての考察をすすめ、学会発表を予定している。 現代の成人式の様相の実地調査は継続的に実施する予定である。 若者の着物への志向の官能評価実験の予備実験を実施する予定である。
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