研究課題/領域番号 |
22K02124
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
松藤 寛 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (70287605)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 相対モル感度 / Single reference HPLC / 機能性色素 / 定量NMR / イソフラボン / アントシアニン |
研究開始時の研究の概要 |
食品に含まれる機能性関与成分や有効成分の含量を正確に定量することは,食の品質や安全性を確保する上で必要不可欠である。クロマトグラフィーでは,測定対象物質と同一の標準品を用いて調製した濃度とピーク面積の関係から定量値を求めることができるが,定量用標準品が入手できない場合や定量用標準品の純度が不正確・表示と異なっている場合,正確な定量分析ができない。本研究では定量NMRに基づき算出される相対モル感度(RMS)を応用することで,測定対象とは異なる物質,すなわち,安価・安定で,正確な純度が担保された別の試薬の検量線を使って,誰でも機能性色素成分をHPLCで簡便・正確に定量する方法を確立する。
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研究実績の概要 |
食品に含まれる機能性関与成分や有効成分の含量を正確に定量することは,食の品質や安全性を確保する上で必要不可欠である。本研究では定量NMRに基づき算出される相対モル感度(RMS)係数を応用することで,測定対象とは異なる物質,すなわち,安価・安定で,正確な純度が担保された別の試薬の検量線を使って,誰でも機能性色素成分をHPLCで簡便・正確に定量する方法を確立することを目的とする。 今年度においては,機能性ポリフェノールである一方で,食品安全委員会より一日上乗せ摂取目安量の上限値が提示されている大豆イソフラボン12種(9種類のイソフラボン配糖体及び3種類のイソフラボンアグリコン)、並びに機能性色素として知られるアントシアニン(今回はシアニジンとデルフィニジン及びそれぞれの配糖体の計8種)へのRMSを用いたSingle-reference HPLC法の適用を試みた。 基準物質として,認証標準物質で正確な純度が担保されているカフェインを選択した。一般試薬として入手した大豆イソフラボン12種並びにアントシアニン8種の正確な純度を定量1H-NMR(1H-qNMR)によって求め,これを基に正確な濃度の標準原液と正確に希釈した複数濃度の溶液(5~10点、それぞれ3セット)を調製した。これらをHPLCに供して検量線を作成し,検量線式の傾きの比をRMS値として,カフェインに対する各イソフラボン及びアントシアニンのRMS値を求めた。いくつかの健康食品中の各成分をHPLCで分析し,同時に測定したカフェインの検量線から含量を見積もったところ,絶対検量線法より得られる定量値と有意差の無い結果が得られ,カフェインのみの検量線を使って,これらを正確に定量できることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回,イソフラボン12種,アントシアニン8種のRMS値が判明し,これら測定対象物の標品を利用せずとも、基準物質として設定したカフェインの検量線のみを使って,健康食品中のイソフラボンやアントシアニンを定量できる可能性が示された。今後測定対象化合物や健康食品及び様々な加工食品の分析数を増やし,本法の適用性を明らかにすることで,有用性がさらに明確になると期待される。 研究は予定通りで順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
1つは論文報告である。大豆イソフラボンは今回2つのメーカーの健康食品しか分析できておらず、もういくつか分析する予定である。また,厚生労働省が通知した「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品等の取扱いに関する指針(食安発第082301号)」別紙に記載の「食品中の大豆イソフラボンアグリコンの試験方法(アグリコン当量)HPLCを用いた分析法」とも結果を比較し,その妥当性と有用性を明らかにすることで,論文報告が可能になると考えている。 アントシアニンにおいては,種類が多いため,すべてのRMSを明示することはできない。そのためアグリコンと配糖体を整理し,当初の予定通り,構造とRMSの相関を明らかにしていく。
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