研究課題/領域番号 |
22K02131
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所 |
研究代表者 |
中村 寛海 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主幹研究員 (00332445)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | Campylobacer / バイオフィルム / mP-BIT / MLST / ST / カンピロバクター / 食中毒 / 環境適応 / WGS |
研究開始時の研究の概要 |
カンピロバクター食中毒は近年、国内で発生する細菌性食中毒として最も事件数が多い。本菌は微好気性菌であるため、空気環境下では徐々に死滅し、食品中で増殖できない。本菌がニワトリから鶏肉への加工、その後の調理工程を経てヒトに食中毒を発症するまでの間には、酸素や消毒剤等の環境ストレスに適応して生残することが必須と考えられる。本研究では、本菌の環境ストレス適応に着目し、NGSを用いた全遺伝子に基づく遺伝学的系統解析およびゲノム情報に基づく環境ストレス応答関連遺伝子の解析を行い、これらと本菌の酸素耐性、消毒剤耐性およびバイオフィルム形成性との関連性について検討する。
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研究実績の概要 |
2011~20年に199事例から分離された660株の患者由来C.jejuniおよびC. coliについて、mP-BIT法による型別を実施した。mP-BITの結果は対象とする19遺伝子の保有の有無に基づき任意にタイプ番号を付与した。その結果、660株のC. jejuniは101タイプ(J-001~J-101)、107株のC.coliは14タイプ(C-001~C-014)に分類された。これらのうち、主要なタイプはJ-27(146株)、J-35(35株)およびJ-72(34株)であった。宿主適応域の広いC. jejuni菌株は病原性が高く、またバイオフィルム(BF)形成性が高いことが報告されていることから、J-27 10株、J-35 7株、J-72 7株およびこれら以外のタイプ20株計44株を用いてBF形成試験を実施した。また、これらのうち41株についてWGS解析を実施し、MLSTに基づくST型を決定した。BF形成試験は既報に従い、菌液を接種した24穴プレートを48時間培養した後に培養液を捨てて乾燥させ、0.1%クリスタルバイオレット(CV)水溶液で染色してOD570値を測定し、これを形成されたBF量として定量した。ST型別の結果、MLSTのSTとmP-BIT型別結果が相関する傾向が見られ、J-27はST-22(CC-22)、J-35はST-4526(CC-21)、J-72はST52と相関した。BF形成試験の結果、J-27はJ-35およびJ-72に比べてBF形成量が低く、環境適応性が低い可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
カンピロバクターのバイオフィルム形成試験法を確立し、44株のC. jejuniについてデータが得られ、それらのうち41株についてWGS解析を実施できたものの、R4年度は研究所の移転があり、さらに菌株数を増やして解析することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2011~2020年までの食中毒患者由来株でmP-BIT型別未実施の株についてDNA抽出を行い、mP-BIT型別を実施するとともに、バイオフィルム形成試験を実施し、WGS解析を行う。2020、2021年に分離された鶏肉由来株についても同様にmP-BIT型別とバイオフィルム形成試験、WGS解析を実施する。バイオフィルム形成性に違いが見られた株について、WGSデータから環境適応に関連する遺伝子群の比較解析を実施する。また、wgMLSTにより菌株間の関連性を調べる。
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