研究課題/領域番号 |
22K02148
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
太田 千穂 中村学園大学, 栄養科学部, 准教授 (80271435)
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研究分担者 |
日野 真一郎 中村学園大学, 栄養科学部, 教授 (00372699)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ノビレチン / ポリメトキシフラボン / 潰瘍性大腸炎 / ラット / in vivo代謝 / 尿中代謝物 / 糞中代謝物 / 機能性成分 / 代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、デキストラン硫酸ナトリウムで誘発させた急性期の潰瘍性大腸炎モデルラットに対して、カンキツ果皮由来成分ポリメトキシフラボン類のノビレチンまたは治療薬の5-アミノサリチル酸を経口投与による改善効果を検証し、その機序を解析することを目的とする。ノビレチンの連続経口投与による潰瘍性大腸炎に対する改善効果効果として、体重変化、組織重量、炎症サイトカイン、大腸の形態学的解析および炎症細胞浸潤の程度により評価する。また、ラット血液および尿糞中のノビレチンおよびその代謝物の定量および活性代謝物の同定を行い、臨床応用への可能性を探る。
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研究実績の概要 |
デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発潰瘍性大腸炎ラット(DSS病態ラット)を作製し、柑橘果皮由来成分ポリメトキシフラボン類の一種であるノビレチン(NBL)の潰瘍性大腸炎に対する効果を検証することが目的である。 DSS病態ラットにおける低NBL治療群、すなわちNBL (10 mg/kg体重)を、7日間毎日、1回、経口投与を行い、NBL投与後7日間の毎日摂取した後、保存しておいた尿および糞中の未変化体(NBL)およびその代謝物を調べた。その結果、糞中排泄物では、NBL投与後1日目の乾燥糞からNBLは保持時間16.73 minに検出された。この排泄量は2.3 μg/g(投与量の0.7%相当)であった。代謝物は11種類が検出され、総排泄量は76.4 μg/g(投与量の21.7%相当)であった。このうち、今回新たに検出されたNM3(三脱メチル化体)が最も多く排出された(総代謝物量の約30%相当)。LC-MSの結果、新たに二脱メチル化体と三脱メチル化体が検出された。 一方、尿中代排泄物では、NBL投与後1日目(HCl加水分解あり)では、代謝物は8種類が検出され、総排泄量は43.2 μg/mL尿であった。代謝物のうち、M1 (4’-OH体)が最も多かった(総代謝物量の37,1%に相当)。総排泄量は投与量の約20%であった。NBL投与後7日目(HCl加水分解あり)では、主代謝物はM1(4’-OH体、総代謝物量の約40%に相当)であり、総排泄量は投与量の約16%であった。また、抱合体の検索をしたところ、HCl(-)尿中代謝物のHPLC分析では、保持時間9.52 minに検出されたピークをLC-MSで調べた結果、m/z 565[M+H]+が検出されたことから、一脱メチル化体のグルクロン酸抱合体であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は、DSS病態ラットにおける低NBLおよび高NBL治療群の連続投与7日間における体内動態試験、すなわち、糞中および尿中におけるNBLおよびその代謝物について分析を行い、初回糞中から未変化体の排泄が1%未満であったことから、NBLのほとんどが小腸から吸収されることが示唆された。また、代謝物の排泄機構として、尿中および糞中への排泄量は同程度であったものの、特定の代謝物については排泄に対して特異性が示唆された。なお、尿中および糞中代謝物の分析解析は現在も継続中である。大腸の形態学解析については、剖検所見にて、解剖時にDSS群において表面の凸凹が散発的に観察されたが、組織学的所見にて粘膜破壊の程度は、現時点で明確な違いが見受けられないことから、継続観察中である。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、DSS誘発潰瘍性大腸炎モデルラットに対するノビレチンの治療効果(炎症抑制効果)を検証する。免疫学的検査として血清中の標的サイトカイン、すなわち、血清中の血液中の腫瘍壊死因子 (TNF)-α、いくつかのインターロイキンおよびシクロオキシゲナーゼ (COX)-2について、それぞれのELISAキットを用いて、サンドイッチ法により比色定量する。また、昨年度に引き続きノビレチン低用量および高用量治療群の体内動態試験として血液中の未変化体(NBL)およびその代謝物の分布について、HPLCにて測定する。なお、HPLC分析条件は、既報に従って分析する (Koga et al., 2007, 2011)。また、ノビレチン代謝物の同定はLC-MS/MS分析にて確認する。
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