研究課題/領域番号 |
22K02157
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
中村 真由美 富山大学, 学術研究部社会科学系, 教授 (30401269)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | ジェンダー / 出生意欲 / 母娘関係 / 価値観 / 意識 / ワークライフコンフリクト / 欲しい子供数 / 共分散構造分析 / 出生率 / 性格傾向 / 親子関係 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では既婚男性を対象として新たな調査を実施し、男性の「出生意欲」の規定要因と形成過程を明らかにする。特に、(コスト面に加えて)、「意識面」に焦点をあて、規範意識(死生観含む)や性格傾向、および、その背景にある「青少年期の経験(親子関係や子どもとの接触経験等)」等に着目し、変数間の関連を共分散構造分析で検証する。さらに夫婦間の出生意欲に齟齬がある場合、どのような状況下でどちらの出生意欲が優先されて出生予定数が決定されるのか、夫婦間の出生意欲のネゴシエーションにも注目する。
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研究実績の概要 |
前回調査(妻についての調査結果)の分析を進め、社会学におけるトップジャーナル(International Sociology)に論文を掲載することができた。手法は共分散構造分析である。日本における既存の出生意欲の研究では、経済的要因に主なフォーカスが当てられていた。しかし、本研究の知見では、経済要因以外の要因(意識・価値観)にフォーカスしている。(1)女性の出生意欲(欲しい子供数)には複数世代にわたる心理・意識的な要因が関わっていた。女性が子供のころ(12歳のころ)、母親が母親業を楽しんでいたと女性が認知していたかどうかが、大人になってからの女性の出生意欲に影響していた。自分の母親が母親業を楽しんでいたと認知している女性は出生意欲が高い傾向にあった。 (2)自分の母親が母親業を楽しんでいたと認知していた女性は、子供に対してポジティブな価値観(たとえば子供には潜在的に価値があるという価値観)を持つ傾向があり、さらにそのような価値観を持つ女性ほど出生意欲が高いことが明らかとなった。 (3)母親が母親業を楽しんでいたかどうかには、母親が置かれていた社会経済的な要因が影響していた。学歴の高い女性やワークライフコンフリクトの低い母親は母親業を楽しんでいた傾向があった。 上記の結果から、母親が、母親業が楽しめるような社会的・経済的環境におかれていることが、次の世代の(娘の)出生意欲にも影響することが明らかとなった。少子化対策では、経済要因にフォーカスされることが多いが、見過ごされていた、経済要因以外の重要性を改めて提示する研究結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前回調査で取得した既婚女性を対象としたデータの分析を進め、論文をリバイスするのに時間がかかったことと、大学の業務が忙しかったことから、当初予定していた既婚男性の調査は3年目に行うこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
既婚女性の分析結果をもとに、既婚男性に対してWEB調査を実施予定である。
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