研究課題/領域番号 |
22K02159
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
前川 佳代 奈良女子大学, 大和・紀伊半島学研究所, 協力研究員 (70466415)
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研究分担者 |
森 由紀恵 奈良女子大学, 大和・紀伊半島学研究所, 協力研究員 (70397842)
宍戸 香美 奈良女子大学, 大和・紀伊半島学研究所, 協力研究員 (00637861)
宮元 香織 北九州市立自然史・歴史博物館, 歴史課, 学芸員 (80435908)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 古代菓子 / 甘葛煎 / 古代スイーツ / 古代甘味料 / 奈良 / ツタ / 椿餅 / 甘葛シロップ / 芋粥 / ミセン / 供膳 / 薫物 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、日本古代菓子が飲食の際にどのように提供され、楽しまれたかを明らかにする。先の「日本古代菓子の実態解明と再現活用の研究」では、史資料から日本古代菓子の実態を明らかにした。菓子は時代とともに姿かたちが変わり、それぞれの時代の菓子の再現を試みた。本研究では、それら再現菓子の提供法を、菓子が利用された儀式(宗教儀式を含む)、行事、宴会、そして菓子の器である供膳具について、文献史学、考古学、宗教史から検討する。また古代甘味料の甘葛煎の再現実験を各地で実施し、その地域差を成分分析で明らかにして各地の味を人工的に再現する。再現した古代菓子は、その提供方法とともに現代社会への活用を試みたい。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、古代菓子が、どのような場でどのように提供され、楽しまれたかを明らかにすることである。すなわち、①日本古代菓子の飲食法・供膳様式の解明、②日本古代菓子の再現と日本全国での甘葛煎研究、③甘葛煎の味覚再現、甘葛煎を使用した古代菓子の再現、④日本古代菓子の供膳様式を含めた活用と普及、である。本年度は次の事を行った。 ①については、『薫集類抄』『うつほ物語』などから飲食の描写を抜き出した。年中行事とその菓子について『月刊大和路ならら』の連載でまとめた。宗教儀式については、中世前期の聖教(『覚禅鈔』・『行林抄』など)における仏供の確認を行った。 ②古代菓子の再現レシピは『月刊大和路ならら』の紙面で公表し、手軽に各家庭で作ってもらえるようにした。甘葛煎再現は、奈良では2024年2月半ばに実施した。その様子はNHK番組で放映された。奈良以外での甘葛煎再現は、京都府京丹波町で2024年1月末に実施予定であったが、大雪のために中止となった。次年度に実施予定である。 ③の甘葛煎の味覚再現については、2023年6月に、甘葛煎の味を作り出すことに成功し、「甘葛シロップ」を開発した。これは奈良県農業研究開発センターの濱崎貞弘氏の協力を得て科学分析を行ったうえで成したものである。本物の甘葛煎を使った古代菓子の再現は、椿餅をメディアの番組制作に関わって作った。また京都の老舗和菓子店の方にも製作いただいた。 ④では、③で開発したシロップを使った古代スイーツをイベントや奈良の飲食店で提供していただいている。また甘葛シロップは、10月末に奈良の新しい産物として、奈良あまづらせん再現プロジェクトのメンバーの店舗で販売を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先に実施した「日本古代菓子の実態解明と再現活用の研究」(19K02356)では、成し遂げられなかった、甘葛煎の味覚再現を、今年度、ようやく完成した。それを製造し販売するところまでできた。本物の甘葛煎の代わりに、甘葛シロップを用いた古代菓子の製作ができるようになり、普及活動にも、奈良の活性化にも期待がもてた。しかしながら色味が異なり、さらなる課題もでてきた。古代菓子を再現した古代スイーツの認知度も高まってきた。
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今後の研究の推進方策 |
甘葛シロップを開発したことで、古代菓子の認知度もあがり、さまざまな方面からお声がけいただくことも多くなった。一方で、甘葛シロップはまだ完成ではないため、さらなる研究と試作を、濱崎貞弘氏の協力を得て、また奈良あまづらせん再現プロジェクトのメンバーと一緒に進めていく。現在、二冊の本の執筆依頼があり、それらも進める。本研究の課題である、菓子の提供のされ方については、年中行事の節会菓子とともに、どのような器でどのような時に出されたのかも資料を蓄積したい。 2024年は研究分担者の宮元香織氏が所属する博物館で「菓子の歴史」展が開催されるということである。メンバーでシンポジウムを考えている。食器については、平泉や奈良の出土品について検討する。
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