研究課題/領域番号 |
22K02169
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 新潟薬科大学 |
研究代表者 |
能見 祐理 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 准教授 (20614887)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | α-ジカルボニル化合物 / ガラクトオリゴ糖 / 3-デオキシグルコソン / メイラード反応 / AGEs / ラクトース / 褐変 |
研究開始時の研究の概要 |
食品の加工・調理・貯蔵過程で普遍的に起こるメイラード反応の中期段階で生じるα-ジカルボニル化合物 (α-DCs)は、後期段階で生じる褐色色素メラノイジンの前駆体として褐変に寄与することが知られている。しかし、食品のような多数の成分が共存し相互作用しあう複雑系においては、褐変に資するα-DCsは反応物の量や種類、pH、水分活性、酸化還元状態などの環境に応じて大きく変容し、その複雑さが褐変機構の解明とその制御法の開発を阻む要因となっている。本研究では、LC-MS/MSによる一斉分析を駆使してメイラード反応全体を俯瞰した網羅的解析を実施し、α-DCs動態に影響を及ぼす制御因子の解明に挑む。
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研究実績の概要 |
本研究は食品加工・貯蔵条件下におけるα-ジカルボニル化合物(α-DCs)の動態に関わる制御因子を同定し、褐変反応機構の解明と制御法開発に繋がる知見を得ることを目的とする。本年はガラクトオリゴ糖(GOS)を用いた検証を行った。GOSは4’-ガラクトシルラクトース(4’-GL)を主成分とする機能性素材であり様々な飲食品に添加されているが、GOS溶液の加熱によりα-DCsの一種である3-deoxyglucosone(3-DG)が多量に生じることが報告されている。そこで、GOSの加熱により生じる3-DGの形成メカニズムの解明を試みた。GOSの大部分はβ1→4結合で構成されているが、β1→3、β1→6結合をもつ異性体も少量含まれていることから、GOSを構成する糖の結合様式に着目して解析を進めた。αおよびβ1→3、1→4、1→6結合をもつ二糖(glucosyl glucose)の加熱処理によって生成されたα-DCsの継時変化を解析した結果、α1→3結合をもつnigeroseおよびβ1→3結合をもつlaminaribioseは他の二糖に比べ非常に多量のα-DCs、特に3-DGを生じさせることが明らかとなった。また、GOS溶液の加熱に伴い4’-GL以外の三糖の顕著な減少と1,4-β-galactobioseの増加が確認された。本実験で用いたGOSに、還元末端側にβ1→3結合をもつ異性体が含まれることが確認され、この異性体から生じたとされる3-DG生成量はlaminaribioseの加熱実験から予想された生成量と酷似していたことから、GOS中の還元末端側にβ1→3結合をもつ異性体が3-DG形成に大きく寄与したことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GOSの加熱により生じるα-DCsの形成要因とそのメカニズムについて明らかにすることができた。また、既存のα-DCs分析システムを改良し、分析対象物質を拡張することができた。一方、α-DCsの捕捉作用が報告されている既存の食品成分を用いたα-DCsの制御についても検証をしたが、現時点で有効な方法は見出せていない。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きさまざまな反応パラメータを用いたモデル系および食品系にて反応全体を俯瞰した網羅的解析を進め、新たな因子の同定を目指す。同時に、α-DCs生成メカニズムを基にした制御法についても検証していく。また、これまでの成果を学術論文としてまとめ発表する。
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