研究課題/領域番号 |
22K02176
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
米田 千惠 千葉大学, 教育学部, 教授 (20361404)
|
研究分担者 |
大石 恭子 和洋女子大学, 家政学部, 教授 (40372908)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 魚肉タンパク質 / 加熱温度 / 変性 / 魚介肉タンパク質 / pH調整 / タンパク質変性 / 低温調理 |
研究開始時の研究の概要 |
魚介類は良質のタンパク質摂取源であるとともに、畜肉にはない健康効果があるが、魚介肉よりも畜肉の消費量が多くなる中、 世界的に植物性由来の代替タンパク質の需要も高まっており、 更なる魚離れの進行による健康への悪影響や魚食文化の衰退が懸念されている。 そこで本研究では、数種の魚介類を対象に低温調理およびpH調整といったタンパク質の変性制御を活用した新規調理法を構築し、食味因子の分析やタンパク質の性状変化、組織構造を明らかにし、栄養性、嗜好性の高い魚介肉を創出し、国民の健康増進を目指す。
|
研究実績の概要 |
昨年度までの研究成果により、加熱温度(65℃、85℃)が高いほど、重量減少が進み、硬いテクスチャーとなった。本年度は、タンパク質変性の程度について明らかにすることを目的とし、筋肉タンパク質の溶解性に基づく分画法から生肉試料および加熱肉試料のタンパク質性状変化を解明した。また、示差走査熱測定(DSC分析)も行い、主要タンパク質の変性の程度を調べた。 試料として生試料、65℃および85℃加熱試料(15分)を用い、Hashimotoら(1979)の方法を一部改変し、水溶性、塩溶性、アルカリ可溶性、アルカリ不溶性画分を得た。加熱試料についてはドリップも分析対象とした。各画分のタンパク質量を測定し、電気泳動分析(SDS-PAGE分析)を行った。 各画分のタンパク質定量の結果から、生試料は水溶性画分が45%、塩溶性画分が52%であったが、加熱試料は水溶性画分が1.9-3.4%、塩溶性画分が1.0-1.5%、アルカリ可溶性画分が93-95%、アルカリ不溶性画分が1.3-1.6%となり、加熱に伴い顕著に不溶化し、加熱温度が高いほど不溶化の程度は大きかった。生試料と加熱試料のSDS-PAGEパターンは相違し、加熱により不溶化することが確認された。65℃加熱試料においては、水溶性タンパク質画分に85℃加熱試料にはみられない成分が存在し、65℃では不溶化しない成分の存在が示唆された。また、DSC分析の結果、生試料は主要たんぱく質成分の吸熱ピークが確認されたが、85℃加熱試料では消失していた。65℃加熱試料では一定の傾向が得られなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
生試料および加熱試料の溶解性に基づく分画法の結果は既報の魚肉試料の結果と一致する結果であり、一定の成果が得られた。一方で、加熱試料のDSC分析結果については、再現性に乏しく、加熱温度による違いが明確にならなかった。 魚種による違いや鮮度の要因から検討していく予定であったが、令和5年度には実施できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
カツオ肉低温加熱試料で水溶性画分に検出されたタンパク質成分の同定を行い、タンパク質変性との関連を探る。また、魚肉の鮮度が加熱肉タンパク質の水溶性画分に影響する可能性についても検討を行う。さらに、貝類試料を対象とした加熱試料のタンパク質の性状についても分析を進める。
|