研究課題/領域番号 |
22K02183
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
田中 求 高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 教授 (40507852)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 和紙 / 人的つながり / 伝統工芸 / 獣害対策 / 農地の多面的機能 / 山村 / 農福連携 / 耕作放棄地の活用 / 土地利用 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、人・土地・ムラの空洞化とその基層にある誇りの空洞化(小田切、2009)の解 決策のひとつとするべく、山村での和紙原料栽培が持つ多様な機能と特性を活用した「土地 利用」と「人的つながり」を再構築する実践的な方策を各地に広めていくことを目的とする。そして、土地管理の農学的研究と人的つながりの社会学的研究、流通の経済学的研究を融合させながら、管理放棄された田畑・森林を受け継ぐための緊急的方策を実施し、また和紙および和紙原料に関する必要な情報の整理と提供方法の確立を進める。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、山村での和紙原料栽培における多様な機能と特性の活用による、地域社会の「土地利用」と「人的つながり」の再構築方策を推進していくことである。 2022年度については、1)獣害被害地を含む耕作・管理放棄地などの「土地利用」の再構築として、ミツマタの有毒性を利用した獣害対策を進めるべく、その栽培のための試行を進めた。さらには株間での防草シート利用、シート除去後のライムギ栽培、収穫後のワラの防草マルチ利用などの作業を省力化した栽培方法による耕作放棄地の活用策を確立しつつある。これらの方法について、高知県内および茨城県大子町のほか、静岡県、愛媛県などでの普及を進めた。原料加工については、農福連携の試行を開始している。 さらに2)栽培者から和紙生産・販売・利用までの「人的つながり」の再構築として、和紙生産の担い手確保のために県庁および市町村と連携して、移住者へのコウゾ畑などの情報提供、新規受け入れのための窓口の整理を進めた。 次に、3)和紙関係者間の必要情報整理・提供によるトレーサビリティの確立として、天然染料顔料会議にて講演を行い、日本画家、版画家および染色関係者への情報共有を行うとともに、和紙に求める情報について、岡山県、愛知県、大阪府、香川県などでの調査を行った。さらに和紙原料の高質化および省力化に向けた加工方法の確立のため、茨城県大子町での現地調査を行うとともに、改善策の共有を行った。また、和紙を含む伝統工芸を通じた人と自然のかかわりについて、一般に幅広く伝えるため「環境社会学事典」などで公表した。 これらの成果は、研究としてのみでなく、高知県、市町村、和紙関係者で構成された土佐和紙振興対策推進会議の副委員長として、第2期土佐和紙総合戦略策定に反映することで、幅広く還元を進めている。さらに移住者へのコウゾ畑などの情報提供、新規受け入れのための窓口の整理を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度について、調査予定先での新型コロナウィルス感染者の発生などがあり、調査の自粛と調査先の変更を余儀なくされたが、主要な調査対象である高知県内および茨城県大子町については、ほぼ当初の予定通りに調査および成果の共有などを進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究については、これまでの研究成果の普及、情報共有について、九州および中国地方などでの現地調査およびワークショップを進めるほか、高知県の日曜市などでの和紙の販売を通じた、消費者・利用者との情報共有を行い、その成果を和紙関係者に還元する予定である。また、研究成果について森林学会などでの発表を進めるほか、学生や研究者、自治体などに幅広く伝えるために、「図説日本の森林」の執筆者として伝統工芸を通じた森林形成について公表する予定である。
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