研究課題/領域番号 |
22K02185
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
|
研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
生田 英輔 大阪公立大学, 都市科学・防災研究センター, 教授 (50419678)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | リスクマネジメント / リスク認知 / 住宅再建 |
研究開始時の研究の概要 |
内陸直下型地震による人的被害は、倒壊家屋や転倒家具を原因として発生することが典型的である。この人的被害を抑止するには居住者自らが自宅の耐震化や家具固定などのリスクマネジメントを実行する必要があるが、実行できていない居住者は多い。一方、実際に被災した居住者は、地震時の住宅のリスクを認知しており、被災経験を有する居住者が自宅でのリスクマネジメントを実行していれば、リスク認知がリスクマネジメントにつながるといえる。そこで、本研究では被災経験のある居住者を対象とした自宅でのリスク認知やリスクマネジメントに関する調査を実施し、認知と行動の関係性を明らかにすることを目的としている。
|
研究実績の概要 |
本研究は地震災害においてリスク認知がリスクマネジメントに繋がるかを明らかにすることを目的として、一定程度地震のリスクを認知する機会のあった地震被災地域を研究対象として、被災した住民の住宅における災害対策行動をリスクマネジメントとみなし、両者の関係を分析する。 2023年度は前年度に予備調査を実施した地域の住宅再建状況を現地にて悉皆的に調査した。対象は近年発生した住宅被害が顕著な災害である、2011年東日本大震災と2016年熊本地震である。振動被害が主であった熊本地震と比較すると東日本大震災は大部分が津波被害であり、対象地域を複数とする事で住宅被害の発生機構による影響も考察が可能である。地域環境要因の影響を排除するため、調査対象地域は特定範囲で再建住宅が集積している地域である。2023年度は東日本大震災に関しては宮城県石巻市蛇田地区の一部地域、熊本地震に関しては熊本県益城町の一部地域を対象とした。 現地調査では住宅の再建状況を把握することとし、再建された住宅の属性、画像等をGIS連動のスマートフォンアプリを用いて調査した。 対象となる建物・敷地は745ヵ所であり、このうち703棟(94%)が住宅であった。住宅のうち2階建てが637棟(90%)、平屋が59棟(8%)であった。当該地域の住宅再建は完了しており、空地は見られなかった。益城町安永地区及び木山地区に関しては2023年12月に2日間で調査を実施した。対象となる建物・敷地は566ヵ所であり、このうち361棟(64%)が住宅であった。地震後に再建された戸建住宅は218棟で、うち2階建てが110棟(50%)、平屋が108棟(50%)であった。 2023年度の調査結果から、石巻市と異なり、益城町の再建住宅に関しては平屋の比率が高く、再建住宅の階数を選択する際に地震による建物倒壊への意識が影響していた可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予備調査と本調査を想定していた対象地域で実施することができ、データベースの構築は完了している。一方、当該地域は復興事業による道路整備や宅地造成が多く、調査用地図との整合性が取れない箇所が複数あった。特に研究代表者が発災直後に調査した被災状況と現在の再建住宅との関係を分析するには、課題が多いと考えられるが、安永地区は区画整理事業が少ないようであり、棟数は減るものの安永地区に関しては分析が可能であると考えられる。一方、WEB及び調査票調査は上記の現地調査において明らかになった課題への対応に時間を要し、2023年度に実施できていない。WEB調査に関しては調査票の設計及び調査サンプルの精査を調査委託予定企業と相談しており、調査準備は概ね完了している。したがって、やや遅れているものの、2024年度は研究を効率的に進められる状況ではある。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度の調査結果から、石巻市と異なり、益城町の再建住宅に関しては平屋の比率が高く、再建住宅の階数を選択する際に地震による建物倒壊への意識が影響していた可能性が示唆された。この点は本研究のリサーチクエスチョンと合致しており、住民への調査票調査によって、これらの因果関係を明らかにする必要がある。そこで、2024年度上半期にWEB調査を実施、被災地地域と比較群としての隣接地域の情報を取得した上で、調査項目の検討を行い同じく上半期に調査票調査を実施する予定である。
|