研究課題/領域番号 |
22K02198
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
辻 智子 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (20609375)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 青年教育 / グループインタビュー / 地域実践 / Uターン / 青年団 / 地域おこし協力隊 / 大学生 / 高校生 / 地域青年活動 / 「地方」の若者 / レポート / 全国青年問題研究集会 / ユースワーク |
研究開始時の研究の概要 |
青年・若者の学習と成長がゆるやかな形で行われる共同的・協働的な活動によって促されるという見地から、従来、これを支えるいとなみとして青年教育(ユースワーク)が展開されてきた。本研究は、「地方」(農山漁村・地方都市)の若者たちの暮しとそこでの活動について、各時代に青年たちが残してきた膨大な実践記録の一部を現在その土地に暮らす若者たちとともに読み解き、かつての青年たちの経験を現代の若者たちがたどってゆくという場を設定することで、現在および今後の地域社会と青年教育のあり方を展望する議論へつなげることを試みるものである。最終的には自治体関係者にも呼びかけてシンポジウムを開催し、得られた知見を還元する。
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研究実績の概要 |
本年度も昨年度に引き続き小規模自治体を想定した若者たちのグループインタビューを試みた。本インタビューは、インタビュー実施自体にも研究的な意味を加えている。同一地域で生活し活動する複数の若者に集まってもらい、互いの経験や意見を交わしあってもらうという場を共有すること自体をも研究の分析対象とするという意味である。インタビュー協力者にとってインタビューへの参加が学びの場になるよう配慮するという、当事者研究の実践的アクションリサーチといえる。このようなインタビューを実現するためには、インタビューを設定するまでの過程に十分な情報収集や参加者への連絡が求められる。この点については日本青年館および日本青年団協議会のネットワークの協力を仰いだ。また、インタビューに先立ち日本青年館と日本青年団協議会から資料提供を受け、現状と戦後の歴史的な歩みとを照らし合わせることができる地域を選定した。このようなインタビューを岡山、熊本、静岡、福島などで実施した。集まった方々は同じ地域に暮し、そこでさまざまな活動を行う同世代の若者であったが、本インタビュー実施以前に直接的な接点はなかった。そのことがインタビューという形式をとりながらも相互に活動や悩みを共有する場をつくることに有意に働いた。本研究の主旨は、研究者による現状分析や課題の提起にとどまらず、実際に活動している実践者自身による協同的な探究の場を設定し、その過程を分析するという特色を有するが、それをインタビュー協力者にも理解してもらう必要がある。今年度、予想以上にこれを達成することができた。またインタビューに先だって過去に同地域で活動していた若者による活動報告(レポート)を共有し、それをめぐる意見交換も実施し、30~50年前の地域社会とそこに生きる若者との比較の視点から現在を語ることができた。インタビューは文字起こしを終え、現在、その分析の最中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地域で活動している複数の若者たちに集まってもらい、相互に活動を紹介しあうとともに、かつての青年による同地域での実践報告(レポート)を読んで意見交換し、それを通して現在について再度議論するというアクションリサーチは、おおむね計画通りの成果をあげている。インタビューの設定の仕方が重要であり、そのためやや時間と手間をかけて慎重な調査計画となっている。そのため実施予定箇所は当初計画よりもやや少なくなりそうな見込みであるが、その分を地域で活動する若者たちが集まる機会(具体的には青年団体の地域間交流や、全国まちづくり若者サミット、全国青年問題研究集会など)への参画を通して補った。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の主軸となるグループインタビューは先述のようにインタビュー実施までの設定に時間と労力を要するものとなっているため全体としては当初の予定よりも若干数が少なくなる見込みであるが、2024年度も前半の時期において引き続き実施する。グループインタビューは今年度前半9月までに終了し、その後、分析・考察を行い、その後、報告書を作成するとともに、その成果を踏まえて、当初の計画通り自治体職員を想定した青年教育に関するシンポジウムを実施する。シンポジウムは、日本青年館および日本青年団協議会の協力を得て行う予定となっており、開催時期は2025年2月を想定している。本年度の後半は、このシンポジウム開催へ向けた準備にあてる。
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