人間本性と理性の陶冶についての教育哲学研究：実践知の特性の究明と涵養に向けて

• 研究課題/領域番号: 22K02199
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 基金
• 応募区分: 一般
• 審査区分: 小区分09010:教育学関連
• 研究機関: 京都大学 (2023); 群馬大学 (2022)
• 研究代表者: 三澤 紘一郎 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (20636170)
• 研究分担者: 渡邊 福太郎 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (80634047)
• 研究期間 (年度): 2022-04-01 – 2025-03-31
• 研究課題ステータス: 交付 (2023年度)
• 配分額: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円); 2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円); 2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円); 2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
• キーワード: 理性 / 人間本性 / 分析的教育哲学 / Richard Peters / Paul Hirst / John McDowell / David Bakhurst / 自然 / P・H・ハースト / R・S・ピーターズ / 知覚 / 実践理性 / 実践知 / 第二の自然

研究開始時の研究の概要

本研究が中核に据える問いは、（1）規範性を含む理性が、人間の行為のどの段階（知覚／判断／身体動作）にまで浸潤しているか、（2）必ずしも言語化されない実践知がどのような意味で理性的／合理的（rational）であるか、（3）実践知をどのように涵養し得るかの三つである。前二者の問いを理論的に究明することを通して実践知の特性を明確化し、そのうえで自然科学的人間探究の枠組のもとに推進されている「実践知の科学」プログラムの可能性と課題を分析し、実践知の涵養に向けた具体的な道筋を提言する。

研究実績の概要

2023年度は、1970年代前後の分析的教育哲学および現在の（特に英国を中心とした）教育哲学における理性についての議論を交錯させながら、徳、知覚、行為に主焦点を当てながら研究を進めた。
本年度は、以下の論文を上梓した。（1）Misawa, K. (2023) ‘Practical Rationality in Education: Beyond the Hirst-Carr Debate’, Journal of Philosophy of Education, 57(1), pp. 164-181.（2）三澤 紘一郎（2023）「スペンサー」教育哲学会（編）『教育哲学事典』丸善出版, pp. 354-355.（3）三澤 紘一郎（2023）「徳理論と教育」立花幸司（編）『徳の教育と哲学』東洋館出版社, pp. 40-49.（4）Misawa, K. (2023) ‘What is it to be a Human Being?’ in Leap to the Future! 1 (Fall), (eds.) Mutsumi Iijima, Raymond Hoogenboom, Pramila Neupane, Jeff Contreras, Sachiyo Takanami, Sylvain Bergeron, (Gunma: Gunma University Press), pp. 70-73.

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度は、本研究プロジェクトの中枢をなす、伝統的な分析的教育哲学とその現在の展開を比較検討する試みを学会のシンポジウムや研究会で発表する機会に恵まれ、多くのフィードバックを得ることができたため。

今後の研究の推進方策

2024年度は、本プロジェクトの最終年度となるため、前年度までの積み上げを踏まえて、（1）人間本性および（2）実践知をめぐる哲学的探究を、人間の変容という観点を織り込みながら推進する。ラウンドテーブル（1回）、国際学会（1回または2回）、各種研究会における発表等を行いながら、論文執筆を遂行する。

研究成果

• [雑誌論文] Practical rationality in education: beyond the Hirst-Carr debate (2023)
  • 著者名/発表者名: Misawa Koichiro
  • 雑誌名: Journal of Philosophy of Education 巻: 57 号: 1 ページ: 164-181
  • DOI: 10.1093/jopedu/qhac002
  • 査読あり
• [雑誌論文] P・H・ハーストの教育哲学―合理主義と実践的転回 (2023)
  • 著者名/発表者名: 三澤 紘一郎・渡邊 福太郎
  • 雑誌名: 哲学 巻: 150 ページ: 59-84
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] Rationality environmentalised (with and beyond Michael Bonnett) (2023)
  • 著者名/発表者名: Misawa Koichiro
  • 雑誌名: Environmental Education Research 巻: 29 号: 6 ページ: 840-851
  • DOI: 10.1080/13504622.2022.2067324
  • 査読あり / オープンアクセス
• [学会発表] ラウンドテーブル「徳の教育と哲学」 (2023)
  • 著者名/発表者名: 三澤 紘一郎・立花 幸司・中西 亮太・川村 雄真
  • 学会等名: 日本教育学会 第82回大会
• [学会発表] 「分析的教育哲学の再評価と展望」（課題研究「「教育」をいかに構想するか―『教育哲学事典』の刊行を踏まえて―」） (2023)
  • 著者名/発表者名: 三澤 紘一郎
  • 学会等名: 教育哲学会 第66回大会
  • 招待講演
• [学会発表] ラウンドテーブル「「知的徳」と教育をめぐる現代的展開」 (2023)
  • 著者名/発表者名: 三澤 紘一郎・土屋陽介・佐藤邦政
  • 学会等名: 教育哲学会 第66回大会
• [図書] 「教育と徳理論」立花幸司（編著）『徳の教育と哲学 : 理論から実践、そして応用まで』pp. 40-49. (2023)
  • 著者名/発表者名: 三澤 紘一郎
  • 総ページ数: 180
  • 出版者: 東洋館出版社
  • ISBN: 9784491053783
• [図書] 「スペンサー」教育哲学会（編）『教育哲学事典』pp. 354-355. (2023)
  • 著者名/発表者名: 三澤 紘一郎
  • 総ページ数: 666
  • 出版者: 丸善出版
  • ISBN: 9784621308219
• [図書] ‘What is it to be a Human Being?’ in Leap to the Future! 1 (Fall), (eds.) Mutsumi Iijima, Raymond Hoogenboom, Pramila Neupane, Jeff Contreras, Sachiyo Takanami, Sylvain Bergeron, pp. 70-73. (2023)
  • 著者名/発表者名: Misawa Koichiro
  • 総ページ数: 113
  • 出版者: Gunma University Press