研究課題/領域番号 |
22K02221
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 九州共立大学 |
研究代表者 |
木村 栞太 九州共立大学, 経済学部, 講師 (80881383)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 学校運営費 / 学校予算 / 裁量権限 / 自律性 |
研究開始時の研究の概要 |
学校への予算権委譲政策のインパクトの可視化に努める本研究では、どのような属性を有する自治体がその制約下でどう権限委譲しているのかに着目した定量的な分析(作業課題A)と典型事例の分析を通じて権限委譲が学校にもたらす影響を検討する(作業課題B)。作業課題Aでは、自治体の属性(人口や財政力等)が4種の権限委譲の実施/不実施に影響を与えているのかを統計的に分析し、作業課題Bでは、委譲される権限の諸類型に応じて、自治体施策の実施過程を分析する。権限委譲の経緯や取り組みの評価に関する聞き取り調査を行うことで、事例ごとの実施要因を比較し、その差違等を明らかにする。
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研究実績の概要 |
今年度は、研究目的を達成するために主に以下の2点の取り組みを進めた。 第一に教育財政と学校経営の接続という観点から学校運営費研究の動向と今後の課題について検討し、論文を投稿した(2023年5月時点)。その結果としては、まず、学校運営費は、財政学上の問題としてはその主題化の意義が必ずしも適切には認められておらず、また教育政策、学校経営学上の問題としては、その主題化の蓋然性が高まっていることを指摘した。また、財政学上の観点からは、学校運営費の公私負担区分の曖昧性とその持続的状況への焦点化並びにこれまで潜在化されていた学校運営費における家計負担の依存度の大きさを指摘した点に成果が認められること、教育政策学上の問題からは、学校への予算権委譲についての政策過程の、学校経営学上の観点からは、学校に委譲された予算権行使に見られる戦略性や権限委譲が学校における教育目標の達成や課題の解決にどうつながっている(あるいは、つながっていない)のか、すなわち予算権委譲に伴う学校経営の改善過程についての蓄積が進みつつあることを指摘した。 第二に定性的な分析を進めるためのデータのサンプリングを行った。学校運営費の編成・執行状況についての典型事例を素描するための、準備を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究においては、問題背景をより精緻化するために先行研究のより広範な動向整理を行い、それを論文としてまとめるところまで研究を進めることができた。当該研究ではこれまで学校予算を対象として検討を進めてきたが、当概念は学校で執行される経費の内、公的側面に限定されたものであった。学校における予算執行をより広く対象化するための概念として、新たに学校運営費を措定し、今後の研究を深めるための視点を獲得することができた。以上から当該研究の進捗は「おおむね順調」であると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、定量的な分析を進めることで、全国市町村の学校への権限移譲の状況を明らかにしつつ、その結果を通じて、典型的な事例に絞った事例の検討を深めていく予定である。学校予算に限らず学校で執行されている経費を広く捉えつつ、その実態に接近するためのデータサンプリングを継続する中で、学校予算の執行に関する典型事例の素描を試みることとする。
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