研究課題/領域番号 |
22K02244
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
武井 哲郎 立命館大学, 経済学部, 准教授 (50637056)
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研究分担者 |
橋本 あかね 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 助教 (20852130)
宋 美蘭 弘前大学, 教育推進機構, 准教授 (70528314)
竹中 烈 愛知文教大学, 人文学部, 准教授 (90762229)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 包摂性 / 民主性 / 共同性 / 運動性 / セーフティネット / ネットワーキング / 公費助成 / フリースクール / 非営利組織 / 不登校 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、非営利でありながらも持続可能な運営を実現させているフリースクールに備わる要件を解明したうえで、不登校児童生徒が利用する一条校の枠外にある場の組織体制を検証する枠組みについて示唆を得るものである。「非営利型」のフリースクールを特徴づける包摂性・民主性・運動性という三つの原理に着目し、事業として成立させることとの間でどのようなバランスをとるべきなのか、事例間の比較から迫ることが課題となる。
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研究実績の概要 |
2022年度の調査からは、(1)営利を優先しない民間のフリースクールに備わる特性として包摂性・民主性・共同性・運動性という四つの原理が見出されるものの、これらは時にフリースクールの持続可能な運営を危うくする要因ともなり得ること、(2)民間のフリースクールが収入と支出のバランスを無視できない事業体であることの限界を乗り越え、学校に行かない・行けない子のセーフティネットとしての役割を果たそうとするならば、地域に根ざしたネットワーキングが不可欠となることを、主たる知見として得た。 その他、(1)公費の助成を受けてきたフリースクールを対象とした調査からは、行政側の「公平」を志向した制度設計に対する苦悩や葛藤の存在、そして運営維持のための「運動性」の必要性が、(2)利用者そのものを増やしてきたフリースクールを対象とした調査からは、濃淡はあるもののマーケティングの5つの要素(価値、コスト、利便性、コミュニケーション、快適さ)を充たしていることや、寄付者を増やすための取組およびキャンセル待ちへの対応ができていないといった課題の存在が、それぞれ明らかとなった。また、メインストリームとは異なるオルタナティブな学びの場をつくってきた団体の事例調査からは、地域の人々の参加と協働による共生的な学びづくりと困難を抱えている子どもたちを含む諸個人の学習・発達を切り離さずに捉える教育実践が、「民主性」と「運動性」を柱とする教育運動にとって重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の前身となる助成研究(2020年度日本生命財団児童・少年の健全育成実践的研究助成)の成果を含める形で、2022年度中に書籍を発刊できた。研究の成果を社会に対して広く発信するという点で意義があるのはもちろん、本研究課題に係る事例調査を今後進めるための足がかりとして使えることが予想される。コロナ禍による調査・移動の制限が一部あったものの、成果発信という点でおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書に記載した通り、(A)公費の助成を受けてきた団体、(B)事業を多角化してきた団体、(C)フリースクールの利用者そのものを増やしてきた団体を対象とした事例調査を、一年目に引き続いて進める。とりわけ(B)事業を多角化してきた団体については、組織のビジネスライク化という論点にも目を向けながら、運営面と実践面の関係を検討する。
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