研究課題/領域番号 |
22K02245
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
|
研究機関 | 四天王寺大学 |
研究代表者 |
中村 洋樹 四天王寺大学, 人文社会学部, 講師 (30824651)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | 授業スタイル / 力量形成 / ライフヒストリー / アクティブラーニング / フィードバック / 歴史的リテラシー / 精神の習慣 / 歴史論述 / 歴史総合 / 学習成果の可視化 / 教育評価 / ルーブリック / 論述 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の高校歴史授業は、コンテンツベースの授業からコンピテンシーベースの授業へと大きく転換しつつある。本研究では、このような動向を踏まえて、2022年度から高校で実施される新設科目「歴史総合」を対象に、すべての学習者を対象とした、学びの過程も含めた「学習成果の可視化」という観点から、論述課題の設計方法や評価方法を明らかにする。具体的には、学習の伸びや軌跡を可視化する論述課題とルーブリックを開発するとともに、そのプロセスを踏まえ、多くの教師がこれらを開発できるような方法を提案する。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、新設科目「歴史総合」を対象に、高校歴史系科目の学習成果を可視化する論述課題とルーブリックを開発するとともに、多くの教師がこれらを開発できるような方法を提案することである。昨年度は、高校歴史系科目の学習成果とは何かを理論的に明らかにするだけにとどまったが、今年度は、進路多様校(公立高校)の教師の協力を得て、「歴史総合」(1年)の授業観察や、論述課題とルーブリックの開発をおこなった。具体的な研究実績は次の通りである。
(1)研究協力者の高校教師であるA先生(教職歴14年)のこれまでの教育観や授業スタイルの変容を、ライフヒストリーアプローチを用いて明らかにした。A先生は高校生までの授業経験に肯定的な意味付けをしていないが、大学生時代に学問する経験、特に身近なテーマや自分の興味・関心を突き詰めていくと学問に繋がることを実感し、その経験をベースに試行錯誤しながら、自身の授業スタイルを形成しつつある。また、管理職からの言葉(助言)や、タイプの異なる高校への異動経験が授業スタイルの変容に影響している。 (2)(1)を踏まえながら、A先生が担当している「歴史総合」の授業観察をおこない、A先生の現在の授業スタイルや担当クラスの生徒の実態把握に努めた。そうした実態を踏まえながら、「第一次世界大戦」と「ファシズム」に関するプレゼンテーション課題および論述課題、それを評価するためのルーブリックの開発・修正をA先生とともにおこなった。また、授業観察の際には、生徒のパフォーマンス(プレゼンテーションの様子や論述課題に対する解答など)について、A先生とも意見交換をおこなった。
(1)については、学会発表をおこない、A先生の教育観や授業スタイルの変容の要因について考察を深めることができた。(2)については、データを収集できたが、その分析については年度内におこなうことが出来なかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)昨年度は、当初の計画を変更して、高校歴史系科目の学習成果に関する理論的検討をおこなった。そのため、根本的に遅れが生じている。 (2)とはいえ、今年度は、本科研の趣旨である「歴史総合」の論述課題とルーブリックの開発をおこなうことができたため、研究の遅れを挽回することはできた。しかし、当初の計画では、開発した論述課題とルーブリックについても学会発表をおこない、諸氏に批判を仰いだ上で、それを改善・修正する予定であった。今年度はこの作業に着手することができなかったため、「やや遅れている」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)今年度A先生とともに開発した論述課題に対する生徒のパフォーマンスを手がかりにして、論述課題が生徒の学習成果を可視化するものであったかどうか、開発したルーブリックは生徒の学習成果を評価するものであったかどうかを早急に検討する。その上で、A先生とともに、論述課題やルーブリックの改訂版を作成する。さらには、歴史総合のカリキュラムの再設計も射程に入れて作業を進める。 (2)また、(1)の内容について教育学の学会や歴史教育に関する研究会において研究発表をおこない、批判を仰ぎたい。その上で、学会誌や所属する大学の紀要等に論文を投稿し、研究知見の普及に努めたい。
|