研究課題/領域番号 |
22K02254
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 日本大学 (2023) 信州大学 (2022) |
研究代表者 |
河野 桃子 日本大学, 文理学部, 准教授 (10710098)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
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キーワード | 道徳教育 / 修験道 / 自然宗教的情操教育 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「特別の教科 道徳」の「感動、畏敬の念」に関する内容項目に焦点化し、SDGsにも深く関連するこの内容項目を授業内で積極的に扱う上での方途を探る。この内容項目については、国公立学校では法的に禁止されている「宗派教育」に通ずるという観点から困難が指摘されるが、本研究では、「自然宗教的情操教育」という概念に着目することで、その困難の乗り越えを目指す。考察にあたり、研究代表者がこれまでにR. シュタイナーの思想の検討から抽出した「一体となって知ること」という概念を、日本の風土に根づく「修験道」の観点から再検討し、そこから日本の道徳教育の授業に向けた実践的な提案を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、「特別の教科 道徳」の「感動、畏敬の念」に関する内容項目に焦点化し、この内容項目を、国公立学校の授業内で積極的に扱う上での方途を探ることを目的としている。ただし、各内容項目は完全に切り離せるものではなく、調和的に関わるものであるため、その他の内容項目、とくに「生命の尊さ」との関わりも十分に意識しながら研究を進めている。 令和5年度においては、上記の目的に向け、研究協力者である片山惠遍氏とともにラウンドテーブル「道徳教育としての「宗教的情操教育」の探求に向けて:「生命や自然、崇高なもの」についての修験者の語りから」を行った(日本ホリスティック教育/ケア学会第6回研究大会)。ここでは、研究代表者である河野が道徳教育と宗教的情操教育の関係についての整理を行い、その上で、修験者として得度し、現在も修行を続けている片山氏が、組織宗教以前から保たれている修験道の「生命や自然、崇高なもの」への向き合い方についての報告を行った。フロアとの議論からは、修行における、五感を使って感じ取ることの意味や、「体験(経験)」の位置づけ、修験道における教師・師僧の役割と道徳教育における教師の役割、道徳教育にあえて今「宗教」という言葉を用いることの意味等、多岐にわたる論点をいただいた。 また、文献研究では、修験道の成立過程や自然観についての整理を行った。今後は、ラウンドテーブルでの成果および令和4年度の研究成果を統合し、これまでの文献研究を踏まえた論文を執筆・公開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画における各年度の予定は次の通りであった。令和4年度:修験道に関する基礎的検討、令和5年度:「自然宗教的情操」についての検討、令和6年度:「一体となって知ること」の再検討。ただし、令和4年度に、「いのち教育研究会」定例会での報告を行う機会をいただいたため、そこでのテーマにあわせて、令和5年度に予定していた取り組みを先に行うこととし、「宗教的情操」に関する先行研究の整理、および「自然宗教的情操」についての検討を行った。このため、令和5年度において、令和4年度に予定していた研究を行うこととし、修験道の歴史や修験道の自然観についての先行研究整理等、修験道に関する基礎的検討を行った。また、修験者の方に研究協力者に入っていただいてラウンドテーブルを行い、実際の体験からの視点を踏まえ考察を深めることができた。 このように、当初の予定に比べ、年度ごとの研究内容の順番は変化しているものの、令和5年度終了時点で、令和4年度・令和5年度に遂行予定であった内容についての研究を行うことができているため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、研究代表者がこれまでの研究のなかでルドルフ・シュタイナーの思想から抽出した「一体となって知ること」という知のあり方を、日本のローカルな風土や文化、なかでもとくに修験道との関わりから再検討する予定である。また、加えて、これまでの研究遂行のなかで見い出されてきた観点として、「生命や自然、崇高なもの」が成立してくるところにある関係や、その関係と子どもとの間に入る大人の役割についても、道徳教育における体験(経験)と関連づけながら考察を行いたい。
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