研究課題/領域番号 |
22K02260
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
竹原 幸太 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (30550876)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ピアメディエーション / 茨田高校 / フェアネスコミティ / 遊佐町少年議会 / コールバーグ / スカースデールオルタナティブスクール / 生徒自治 / 校則見直し / 懲戒手続き / 懲戒権 / 少年議会 / ジャスト・コミュニティ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、18歳成年時代において、未成年を想定した従来の生徒懲戒の在り方が問われることに鑑み、国内外で継続的に子ども参加・生徒自治を育んでいる先進事例の分析を通じて、懲戒手続き過程への生徒参加の方途を検討する。併せて、子ども参加・生徒自治を継続的に育てていく要素を析出し、懲戒手続き過程への生徒参加実践を新たに位置づけていく教育的意義について検討する。
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研究実績の概要 |
本年度は、昨年度から継続して現地調査を実施し、改訂版生徒指導提要等でも求められている生徒同士のメディエーション教育の展開・継続要素を中心に検討した。 第一に、茨田高校のピアメディエーション授業の総仕上げとして実施されるメディエーター認定試験を見学し、高校2年から3年にかけて2年間かけて実施されるピアメディエーション授業の構造と参加生徒の教育効果について、同校教員のインタビューも踏まえて検討した。 第二に、ニューヨーク州・スカースデール高校オルタナティブスクール(A-school)へ訪問し、公正委員会(フェアネスコミティ)でメディエーションを実施するに至るまでの生徒間の関係づくりを分析した。具体的には、教員1名と15名程度の生徒で日常の関心事を議論するコアグループミーティング及び各コアグループの代表者が学校全体に関わる議題を持ち寄り、教員と共に討議する議題委員会(アジェンダコミティ)へ参加し、メディエーションの土台となる自治形成過程を観察した。併せて、コロナ禍以降の生徒間討議の変化について教員にインタビューを行った。以上を通じて、生徒同士によるピアメディエーションを展開・継続させていく要素とその教育的意義について分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度、独立基盤形成支援の追加助成を受けたことから、当初の計画以上に文献調査及び訪問調査を実施することができ、その成果報告を大幅に加速させることができた。 本年度は当初の計画通り、茨田高校への訪問調査を2回実施したことに加え、昨年度に続き、3年目に計画していたスカースデール高校・A-schoolへの訪問調査(計1回)を実施することができ、そこでの調査結果の一部を発表することができた。 具体的には、生徒懲戒に関わる研究・実践動向について、全国障害者問題研究会『障害者問題研究』誌で論稿を発表しつつ、ピアメディエーション学会令和5年度研究会で「いかにメディエーション教育を継続・発展させていくのか?-先進事例に注目して」と題して報告を行い、17年あまり続く茨田高校のピアメディエーションの意義とその継続要素について分析し、それを東京都立大学人文科学研究科『人文学報』誌に投稿した。 さらに、A-schoolのジャスト・コミュニティ実践を展開してきた元校長のインタビュー調査も踏まえ、生徒懲戒過程への生徒参加の方途について、日本教育学会第 82 回大会自由報告にて「スカースデールオルタナティブスクールのジャスト・コミュニティ研究」と題して報告を行い、海外の実践紹介として、現在のA-schoolの実状を『季刊教育法』及び『高校生活指導』誌で紹介した。併せて、昨年度、子ども自治の先進事例として訪問調査を行った遊佐町少年議会の教育的意義について、児童問題研究所『児童問題研究』誌で発表し、その内容を児童問題研究学習会にて「なぜ、山形県遊佐町少年議会に注目したのか?」と題して報告を行った。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はこれまでの現地調査を踏まえつつ、以下について検討予定である。 第一に、コールバーグ以降の道徳性心理学研究において、現在まで継続されているA-schoolのジャスト・コミュニティ実践がいかに位置づけられてきたのかを検討する。とりわけ、近年注目されるハイト及びコールバーグと研究を共にしたデーモン、コルビーらの研究と照らして、ジャスト・コミュニティが有する現代的意義について検討する。 第二に、A-schoolに続き、退学予防を目的として、1985年に生徒懲戒への生徒参加実践としてジャスト・コミュニティを導入したセオドアルーズベルト高校の実践記録について調査・検討する。 第三に、メディエーションの先行実践として、コルチャックの子ども裁判を参照に国内で僅かに試みられた子ども裁判実践に注目し、同実践が与えた影響等について検討する。
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