研究課題/領域番号 |
22K02265
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
足立 淳 朝日大学, その他部局等, 准教授 (50707528)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 大正新教育 / 成城小学校 / 諸見里朝賢 / 小原國芳 / 赤井米吉 / 小西重直 / 澤柳政太郎 / 村上瑚磨雄 / 西田幾多郎 / 京都学派 / 思想的影響 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、20世紀初頭に隆盛した大正新教育と呼ばれる全国的な教育改革の諸動向において中心的な役割を果たした私立成城小学校において推進されたカリキュラム改革の内実を、西田幾多郎とその後継者や関係者のことを指す京都学派の思想的影響との関連において構造的に解明することを通じて、現代の教育改革にとって有益な歴史的参照例として大正新教育の歴史像を鍛え直すことを目的としている。
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研究実績の概要 |
採択された研究計画に基づいて、草創期の成城小学校において理科教育の改革を精力的に推進したことで知られる諸見里朝賢に関する史料の調査・収集と分析を進めた。その結果、諸見里の経歴や思想的形成の過程、彼が理科教育改革に参画したことの意義について新たな知見を得ることができた。 やや具体的には、諸見里が、もともと郷里の沖縄県で熱心に皇民化教育に取り組んでいたこと、その後に長野県へと移住して組織的な理科教育改革の実践に触れたことによって、成城小に赴任する前から低学年理科教育の実現や国定教科書の撤廃への動機を胚胎させていたこと、さらに進化論に触れたことによって皇国史観を相対化する立場へと至ったこと、などが明らかとなった。 また、成城小の二代目の主事としてカリキュラム改革を指揮した小原國芳や、幹事として活躍した赤井米吉の言説を検討し、彼らの教育の思想や実践に与えた西田幾多郎および小西重直の影響の検討と分析に取り組んだ。同時に、成城小の顧問であり、1930年代に成城学園の総長となった小西重直の言説の検討と分析も進めた。そして、彼が、成城小に関わるようになる前から表明していた科学観や教育学観が、成城小の創設者であった澤柳政太郎と多くの点で差異やズレを含むものであったことを確認した。 前年度に得られた知見と上述の作業を通じて得られた知見の一部を中部教育学会第71回大会において報告した。また、研究書のなかの一章分として発表するために原稿の執筆を進めた。そのうちのいくつかは、2024年度中に公刊される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要においても述べた通り、採択された研究計画に沿って成城小学校の教師たちに関する史料の収集と分析を進めた結果、当初の作業仮説が概ね妥当なものであったことが確認されつつある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、採択された研究計画に沿って、草創期の成城小学校の教育研究の方針を巡る澤柳政太郎と教師たちとの相違を、彼らの論考や著作の分析を進めることで浮き彫りにするとともに、得られた知見を学会で報告し、研究論文としての投稿を目指す。 とりわけ、京都帝国大学から成城小へ赴任した教師たちの背景に、西田幾多郎や小西重直の思想的影響があったことと、それとは別の文脈で成城小に着任した教師たちとの間でも、澤柳-西田・小西間に見られる科学観・歴史観・教育観の相対的な差異があったことが判明しつつある。 今後は、それらの差異をより精緻に分析し、差異やズレを含みながらも総体として展開されていった成城小のカリキュラム改革を動態的に描き直していく作業に取り組みたい。
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