研究課題/領域番号 |
22K02272
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
|
研究機関 | 広島修道大学 |
研究代表者 |
山川 肖美 広島修道大学, 人文学部, 教授 (40284137)
|
研究分担者 |
坂口 緑 明治学院大学, 社会学部, 教授 (10339575)
三浦 浩之 広島修道大学, 国際コミュニティ学部, 教授 (80157437)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 学びと地域づくりの好循環 / 学習支援者 / 社会教育士 / civic power / 学びのデザイン / ひとづくり / つながりづくり / まちづくり / 学習都市 / 学びの成果指標 / シビック・エンゲージメント / 学習の社会的成果 / 学習支援者(社会教育士・社会教育主事等) |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ひとづくりとまちづくりの好循環を創る学びの機能と社会的成果、そのデザイン、そしてそこへの学習支援者の役割を探究する。 具体的には、第1にまちづくりを起点とする学びと学びを起点とするまちづくりが融合できる学びのデザイン、第2にそれを推進する主体としての社会教育士ならびに社会教育主事の役割、第3に学習都市の指標としての学びの社会的成果の意義を究明する。 生涯学習研究者と都市計画・まちづくり研究者がともに研究することで、ひとづくりとまちづくりに双方向性があり社会実装可能な学びのデザインと、それを生むための学習支援者としての社会教育主事・社会教育士の役割の再定義を目指している。
|
研究実績の概要 |
ひとづくりとつながりづくりとまちづくりの好循環を創る学びのデザインと学習支援者の役割について、第1に市町村の社会教育・生涯学習行政関係職員、第2に民間の事業者へのインタビュー調査をもとに質的データを得て、主にグラウンディッド・セオリー・アプローチによる分析を積み重ねている。 2023年度は、前年度までに収集していた市町村社会教育・生涯学習行政関係職員を対象としたインタビューデータをもとに研究会で報告するとともに、民間の学習支援者へのインタビュー調査の結果を追加・整理・解析している途中である。民間の学習支援者のインタビューデータは、2022年度に福岡県久留米市と兵庫県神戸市の学習支援者より、2023年度に兵庫県西宮市の学習支援者より得てきた。西宮市では、浜甲子園団地のHAMACO:LIVING主宰者であるOさんへのインタビューと現地踏査により把握した。近所の緩やかな繋がりを通じて、困った時に助け合う関係性を育む「ネイバーフッドデザイン」により、このエリアでは全ての人が誰かと繋がっている状態にしていけるように取り組んできたこと、その取り組みの方法論として学びによる小さなコミュニティづくりを推奨してきたこと、運営スタッフとしてエリアでの様々な企画・運営をしたい地域の人をサポートできる人を育ててきたこと、持続できる財源を作ってきたことが特徴的であった。 民間の学習支援者の役割については、福岡県久留米市・兵庫県神戸市・兵庫県西宮市のデータをもとに、経過報告の段階のものではあるが、日本生涯教育学会第44回大会で口頭発表をした。調査結果に基づき社会教育士に必要な新たな資質についても提案した。 今後は、さらに行政ならびに民間の学習支援者へのインタビューを重ねて追加のデータを得てより精緻な分析に進み、併せて、イギリスならびにデンマークでの学習支援者へのインタビュー調査と現地調査を実施する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の影響を受けた2022年度までと比較して、2023年度は、海外調査へ着手できたこと、異なる立場にある学習支援者へのインタビューデータをもとに質的データを整理し、社会教育士に求められる3つの能力に付加する能力を示唆できたことなどから、最終年度に向けて比較的順調に研究が進んでいると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策として次の3つを想定している。 1 イギリスでのヒアリングと現地調査による学びと地域づくりの好循環を把握するための指標の把握:学びと地域づくりの好循環を可視化するための成果指標として、学習都市のインディケーターやOECDの社会的成果の調査項目等に含まれた指標があるが、コロナ禍の都市への影響を勘案したものとはなっていないことや学びと地域づくりに焦点をあてた指標ではなく学習の社会的成果全体のごく一部として掲げられている指標にすぎないこと等の課題を克服する可能性を、London Civic Strength Index に見いだしている。昨年度3月に現地担当者(ロンドン市役所担当職員)にヒアリングをする予定であったが、本務校の業務多忙によりそれが叶わなかったことからぜひともそれを実現したいと考えている。 2 生涯学習の支援者モデルの精緻化:学びと地域づくりの好循環を促す上での学習支援者に必要な資質・能力や役割について、質的データをもとにグラウンディッド・セオリー・アプローチに拠り、明らかにする。これにより、社会教育士として必要な資質・能力、役割についても従来提示されていることに付加できればと考えている。 3 市政への市民参画と行政計画の市民参画型の社会実装に果たす学習支援者の役割の仮説的把握:行政ならびに民間の学習支援者によって育まれてきた、学習者の地域づくりへの志向性や実践力が、市政参画に結びつく可能性について検証する。次期総合計画等まちづくりに関わる行政計画の策定時期にある自治体の協力を得て、学びの場への参加によるまちづくりに関する行政計画が市民参画型で策定できる可能性を検証したいと考えている。
|