研究課題/領域番号 |
22K02287
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 大阪青山大学 |
研究代表者 |
佐藤 雄一郎 大阪青山大学, 子ども教育学部, 講師 (10849045)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | パウロ・フレイレ / サンパウロ市 / カリキュラム / 教科教育 / 学際性 / 「解放」 / ブラジル / ディアデマ市 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ブラジル・ディアデマ市で展開されている、パウロ・フレイレ教育学にもとづく「学際性」を鍵概念とする学校教育カリキュラムに関する調査・研究を行う。 公教育システムにフレイレの「被抑圧者の教育学」を位置づけているディアデマ市において、①どのようなカリキュラム政策がとられているか、②各学校ではどのようにカリキュラムを開発し、実践しているか、を明らかにする。 本研究をとおして、教科の科学性・系統性と子どもの生活経験・問題意識との有機的関係のあり方、また子どもの主体化と知識の総合化を可能にする教育実践の方法論を提案することでお、子どもの現実に呼応する公教育のあり方を考える一助としたい。
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研究実績の概要 |
2023年度は、大きく二つの研究課題に取り組んだ。 一つは、昨年度の積み残し研究課題である、「学際性」カリキュラムにおける教科の位置づけの検討である。『エリアビジョン』『実践レポート』の各シリーズの翻訳および読解作業を進め、教育実践レベルのカリキュラム改革・授業改革について、以下の3点を明らかにした。①開発されたカリキュラムと授業は、年間を通したものではなく、期間を設けたプロジェクト学習的な位置づけにある。②『実践レポート』で公表された授業実践は、社会や生活について「異なる見方をする」ために学問的な知識・認識を道具的に用いている。③それは学校へのアクセスが保障されなかったり、教科内容の系統性のもとに疎外されてきた子どもを想定してのことであり、子どもを「知識・認識の生産者」に育てるためであった。 もう一つは、当初計画に挙げていた研究課題である、ディアデマ市がフレイレ教育学を採り入れた経緯と現在のカリキュラム政策についての検討である。成果として、2023年9月にブラジルに渡航し、フレイレ研究者であるAna Maria Soul教授、Alexandre Saul教授、さらには現在のディアデマ市での教育改革に携わっているBranca Jurema Ponce教授とミーティングを行うことができた。またその折に、ディアデマ市の教育改革についてインタビューすることができた。その成果は次の3点である。①次回渡航時のディアデマ市教育局の方とのミーティング、またディアデマ市の学校訪問の約束を取り付けることができた。②ディアデマ市のカリキュラム政策の変遷は、市長と所属政党の政策のイデオロギーに大きく影響を受けること(具体的には人事が一新されるなど)が分かった。③その文脈で、コンピテンシー育成とフレイレ教育論との同居が戦略的に実現していること分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究資料の収集や読解作業はおおむね順調である。しかし、研究成果の公表についてはやや遅れている。 「学際性」カリキュラムにおける教科の位置づけについては、研究成果の一部は公表できたが、改革の全体像やその意義については、未だ体系化した論文にはできていない。限られた論文投稿の機会のなかで、確実に研究成果を公表していく。 ディアデマ市がフレイレ教育学を採り入れた経緯と現在のカリキュラム政策については、未だ研究成果としての公表ができていない。ディアデマ市から出されている政策文書と、その背景に関するBranca教授からの聞き取り内容とを接合して論文化していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、ディアデマ市立学校で2週間にわたるフィールドワーク調査を行うことを通じて、ディアデマ市立学校における「学際性」カリキュラムの開発と実践の実態について仮説を立てる。 このフィールドワーク調査では、「カリキュラム」の重層性を考慮して、3種類の資料・データを収集する。①教育行政レベル:教育事務局が発行している政策文書、教員研修に関する資料。②学校レベル:各学校の教育課程(時間割、行事予定等)、校内研修や教員間連携に関する資料。③教育実践レベル:教師が作成した単元計画、指導案、教科書、実践のビデオ・音声の記録、子どもたちの学習活動の成果物(ノート、プリント等)。フィールドワーク調査の実現のために、Branca Jurema Ponce教授、Ana Maria Soul教授、Alexandre Saul教授に研究協力を要請する。 並行して、「学際性」カリキュラムと授業について、またディアデマ市がフレイレ教育学を採り入れた経緯と現在のカリキュラム政策について、研究成果を学会発表や論文としてまとめていく。
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