研究課題/領域番号 |
22K02292
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
田所 祐史 京都府立大学, 公共政策学部, 准教授 (40772140)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 公民館 / 社会教育施設 / 設置形態 / セツルメント / 教育史 / 地域文化 / 寺中作雄 / 文化国家 / 社会教育史 |
研究開始時の研究の概要 |
公民館は、1946年の文部次官通牒「公民館の設置運営について」により設置が始まった社会教育機関・施設である。その創設・普及期(1946年~1950年代)を対象とした社会教育機関・施設史研究である。 ① 公民館の施設設置形態と政策・議論・実際の展開を、各都道府県の調査を通じて地方の実態に即して明らかにする。初期公民館の時代から社会教育法制定等を経て「施設による」公民館の形態へ移行する特徴を探る。 ② 地域における教育文化の振興に、公民館が果たした役割を明らかにする。初期公民館は幅広い役割を果たしたが、「文化国家」の提唱のもとでいかなる「文化」を展望し、公民館活動で模索したかに迫る。
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研究実績の概要 |
公民館創設・普及期の施設設置形態の都府県別史料調査等を、主に以下の各地で実施した。福岡県(県立図書館、北九州市立中央・八幡図書館、筒井市民センター)、大分県(別府市立図書館、中央公民館)、広島県(県立、広島と福山の市立図書館)、高知県(県立・高知市立図書館、芸西村)、新潟県(県立・新潟市立、小千谷市立図書館)、奈良県(県立図書館)、静岡県(県立・静岡市立中央図書館)、滋賀県(県立図書館、高島市立今津図書館、醒井公民館)、東京都(都立多摩、あきる野市中央図書館、本所賀川記念館)、佐賀県(神野公民館)、兵庫県(賀川記念館)、大阪府(研究集会)、鹿児島県(県立図書館、鹿児島市立中央公民館)、宮崎県(県立・宮崎市立図書館)、京都府(府立図書館)、香川県(鎌田共済会郷土博物館)、山形県(鶴岡市立図書館、大広・広浜公民館)、愛媛県(松山市立中央図書館、余土公民館)ほか。あわせて各地の公民館、公会堂、自治公民館等も訪ね、施設の実態等を確認することができた。 これらの調査をもとに、大串隆吉氏との共著『日本社会教育史〔改訂版〕』(有信堂、2024年3月)を刊行し、論文「占領期の都市公民館の設置形態―都市公会堂との関係を中心に―」『福祉社会研究』24号(同年3月、京都府立大)を発表した。北九州市(旧八幡市)の筒井市民センター(旧熊西公民館)での調査結果を、「地域公民館の誕生―70年前の旧八幡市熊西公民館―」として発表予定である。 また、調査をもとに『月刊社会教育』(旬報社)に記事等を発表した(一部のみ)。「史料で訪ねる和歌山の初期公民館」(6月号)、「南国土佐で鑑賞する芸西村文化資料館・筒井美術館」(8月号)、「関東大震災100年」(9月号)、「賀川豊彦と関東大震災」(10月号)、「もっと知りたい!公民館!」(11月号)、「香川・坂出の街のミュージアムーー鎌田共済会郷土博物館」(1月号)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、18都府県の県立図書館や公民館等を調査することができ、1950年代を中心とした史資料収集が大きく進んだ。また、社会教育史や公民館史の共著や論文を発表し、学会での自由研究発表も行った。あわせて、社会教育専門誌に一般読者を視野にした史料紹介等を発表できた。 公民館史に関しては調査分析と発表に進捗がみられたが、一部の都府県では収集した設置形態のデータ整理が進んでいないため、さらなる整理と比較検討が必要である。また、当該時期の地域文化についてはさらなる史料収集と分析・考察の進展が今後の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
公民館創設・普及期の調査については、北海道、栃木、群馬、静岡、愛知、大阪、鹿児島、沖縄ほかの都道府県の、初調査または再調査を進めていく。施設設置形態の状況とあわせて、各都道府県における「施設主義」の考え方、施策の実態などについても調査を進める。 「優良公民館表彰」などの形で当時モデルとされた公民館の紹介・説明資料の発掘を現地で行い、創設・普及期の公民館施設に何が求められ、何が具現化したか、何が課題だったかを探る予定である。 地域の教育文化については、地域文化研究会や日本社会教育学会での研究活動から示唆を得ることが多く、引き続き占領期から1950年代の「文化国家」理念のもとでの地域での「文化」領域の言説と実際の展開を追いたい。
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