研究課題/領域番号 |
22K02296
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
春日 秀雄 神奈川工科大学, 情報学部, 教授 (50387081)
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研究分担者 |
上田 麻理 神奈川工科大学, 情報学部, 准教授 (70786409)
大鶴 徹 大分大学, 理工学部, 客員教授 (30152193)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 練習時の環境音 / 音楽の心理的影響 / スイング時の姿勢変化 / 人工歓声付加 / 打球音判別 / 音響的特徴 / スポーツ音響 |
研究開始時の研究の概要 |
我が国ではオリンピック・パラリンピックをきっかけに,スポーツ政策が積極的に実施されている.平成27年度からスポーツ庁は「競技力向上事業」を行っており,国際競技大会における日本代表選手のメダル獲得に向けて選手強化に力を入れている.しかしながら,現状の選手強化の支援には聴覚(音)の視点が組み込まれていない.欧米をはじめとする他国においても同様である.国際的競技力の向上には日本独自のスポーツ教育の要素技術等の新しい展開が必須である.そこで,本研究では新たなスポーツ教育の要素技術として音・聴覚の視点を取り入れた日本独自のトレーニングシステムの構築を行う.
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研究実績の概要 |
野球の練習時の環境音の違いが選手にどのような影響を与えるかを調査を行った。まずは,研究発表[1]において異なる環境音でバッティングにおける打ちやすさやモチベーションなどの変化を調査する心理実験を実施した。環境音としては,「普段流している音楽(選手が選んだ曲)」,「クラシック」,「無音」の3種類を用意した。設問としては,「今日の音楽を聴いて打ちやすかったか」,「今日の音楽を聴いてモチベーションは上がったか」,「今日の音楽を聴いて体へのキレが出たか」,「今日の音楽は練習に必要だと思うか」,「今日の音楽によって体感的なバッティングの時間の長さはどう感じたか」という5つを用意した。実験の結果,自分の好きな音楽を流した時がもっとも打ちやすく,モチベーションも上がるという結果となった。これは,「好きな音楽」が心理的にポジティブな影響を与え,プラスの効果として現れたと考えられる。 また研究発表[2]では,環境音の違いによって心理的な影響だけでなく,選手の動作にも影響が出るか調査を行った。本研究では,スイング中の体軸の変化に着目した。実験では,スイングの前半の体軸の傾きの平均とスイングの後半の体軸の傾きの平均の差を調査した。その結果,「普段流している音楽」と「無音」,「クラシック」と「無音」の間には有意差が確認された。また,「無音」ではスイング前半の体軸の傾きの分散が大きく,スイング動作が安定しない可能性があるという結果が得られた。 [1] 野球のバッティング練習時の環境音の影響,音講論(秋),2023 [2] 野球のバッティング練習時の環境音の影響 その2 -映像からの動作分析-,音講論(春),2024
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は打球音の音響的な特性を調査した。また,試合における歓声等の影響について調査を行った。2023年度は野球の練習環境における環境音の影響について調査を行った。スポーツの練習中に音楽を流す習慣は広く広まっており,野球においてもプロチームから高校野球のようなアマチュアのチームまで練習時に音楽を流すことが増えてきている。そこで,練習時の環境音の違いが選手にどのような影響を与えるかを調査し,より効果的な練習環境の構築を目指して実験を行った。打ちやすさやモチベーションなどの変化を調査する心理実験では,選手が選んだ「普段流している音楽」がもっとも打ちやすくモチベーションが上がるという結果が得られた。心理的な影響だけでなく,選手の動作にも影響が出るか調査を行い,音楽がある場合とない場合で動作に違いがあることが確認できた。これによって,音楽を流すことで野球の練習の効果が上がる可能性があることが分かった。しかし,音を利用したトレーニングシステムやアプリケーションの開発という当初の目的はあまり進展していないのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は主に練習環境における音の影響を調査し,音による選手のモチベーション向上,集中力向上といった効果を模索してきた。練習時に流す音楽に関しては,心理的にポジティブな影響が確認できているものの,音楽の種類によって効果が異なるかは十分に検討できていない。そこで,音楽の種類による効果の違いについて研究を進め,効果的なトレーニング環境の構築について明らかにする。また,2022年度に収集した打球音のデータを元に,音を用いたトレーニングシステムやアプリケーションを作成する。音からボールの方向を予測する技能の習得を目指すアプリケーションの開発や,プレーに有効な音を聞き分ける能力の習熟を目指すアプリケーションの開発を進める。
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