研究課題/領域番号 |
22K02313
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
|
研究機関 | 千葉県立保健医療大学 |
研究代表者 |
広川 由子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 准教授 (00759475)
|
研究分担者 |
中嶋 哲彦 愛知工業大学, 工学部, 教授 (40221444)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 占領期沖縄 / 小学校英語 / ガリ刷り教科書 / 小学校教科課程案 / ベイシック・イングリッシュ / I. A. リチャーズ / English Through Pictures / 占領政策 / 沖縄 / 英語教育政策立案過程 / 導入と廃止 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、占領期沖縄における小学校への「英語科」の導入と廃止の歴史的経緯を、日米双方の一次資料を用いて解明するとともに、その背後にある言語政策及びその一環としての英語教育政策の展開過程を、①米軍政府の沖縄統治方針とその変遷、②米軍政府の統治政策と言語政策との関係、③沖縄指導層の教育計画、④沖縄住民の英語学習のニーズの内実、に着目して調査・考察を進める。
|
研究実績の概要 |
令和4年度は、科研初年度にあたり、占領期沖縄における英語教育政策立案過程の解明を目的に、以下の四つの研究を実施した。第一に、占領期沖縄の小学校英語政策立案過程に関わる日米双方の基礎的なデータを、国立国会図書館及び沖縄戦関係資料閲覧室において収集し分析を進めた。 第二に、占領期沖縄の小学校英語に関わる一次資料を、研究代表者・研究分担者ともに沖縄を訪問して調査・収集した。具体的には、沖縄県公文書館において戦後初期教育課程関係文書を収集し、沖縄県立博物館・美術館及びうるま市立石川歴史民俗資料館において「ガリ版刷り教科書」を撮影した。これら収集した資料はデータ化した後、整理・分析を進めた。 第三に、研究代表者の所属学会において、科研課題の前史として、広川由子「自著を語る『戦後期日本の英語教育とアメリカ:新制中学校の外国語科の成立』」を口頭発表した(日本英語教育史学会 第291回 研究例会(Zoom開催)2023年1月7日)。 第四に、今日の英語教育施策の法的諸問題を検討した成果として、中嶋哲彦「東京都英語スピーキングテストをめぐる教育法の諸問題」(『季刊教育法』 (215) エイデル研究所、pp. 98-105、 2022年12月)を公表した。 以上のように、令和5年度は主に占領期沖縄における小学校英語の導入に焦点を当てて資料収集・分析を行いつつ、前史や今日的課題についても触れることができ、全体像をイメージしつつ研究を遂行することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「おおむね順調に進展している」と判断する理由は以下のとおりである。第一に、当初の計画どおり、一次資料の収集・整理・分析が進んだことである。 第二に、本科研課題に関わる重要な前史を口頭発表することができたことである(広川由子「自著を語る『戦後期日本の英語教育とアメリカ:新制中学校の外国語科の成立』」日本英語教育史学会 第291回 研究例会(Zoom開催)口頭発表、2023年1月7日)。この口頭発表を通して、多様な意見を聴取することができ、今後さらなる研究の深まりが期待できる。 第三に、今日の英語教育諸施策についての論稿を刊行することができたことである(中嶋哲彦「東京都英語スピーキングテストをめぐる教育法の諸問題」『季刊教育法』 (215) エイデル研究所、pp. 98-105、2022年12月)。本稿において近年の英語教育問題を取り上げたことにより、英語教育史研究にとどまらず、政治学の視点から英語教育を検討し新たな知見を提出することができた。これらを契機に、今後、今日にも通じる実証的な研究成果を提供することができると考えている。以上のことから、令和4年度は「おおむね順調に進展している」との判断に至った次第である。
|
今後の研究の推進方策 |
令和5年度の研究課題は、以下のとおりである。第一に、これまでに収集した一次資料をより精査し考究することにある。その際、多様な観点から占領期沖縄における英語教育政策の立案過程を解明するため、政党の方針や動きにも注目し、綱領等を入手する。 第二に沖縄住民の英語教育要求と、小学校における英語教育の実施がどのように関連していたのか、ということにも着手する。もしも可能であれば、当時、英語を教えた教員や、英語教育を受けた人々へのインタビューを実施する。 第三に、米軍基地の従業員向けの英語教育といった、学校教育以外の教育にも目配りし、それがどのような質の英語教育だったのかを検討する。具体的には、ハーバード大学図書館所蔵のI. A. リチャーズ・ペーパーを入手する予定である。 第四に、占領期沖縄の小学校英語を、英語の世界的拡大過程に位置づけて検討することで、その意義と諸問題に言及する予定である。 以上の課題を遂行することにより得られた研究成果は、所属学会で口頭発表する予定である。またその後は論文化し投稿を目指す。
|