研究課題/領域番号 |
22K02343
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
高橋 均 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (30561980)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 家族の教育戦略 / 地方移住 / 子育て / 文化的再生産 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,若年層において,農山村への移住願望の高まりがみられ,移住者数の増加が確認されており,地方部に移住し,子育て・教育をするという選択をする家族が一定数存在する可能性が示唆されている。しかし,これまで,地方移住した家族が,なぜ移住という選択をするに至ったのかという点に着目し,親自身に地方移住を促す要因について検討した研究の蓄積は十分ではない。本研究では、都市部から地方部に移住する家族の教育戦略の様相およびその教育戦略の採用を促す規定要因とは何かについて明らかにする.また,今日のペアレントクラシー化が進行する社会において,地方移住する家族が展開する教育戦略が持つ意味について社会学的に考察する。
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研究実績の概要 |
高等教育機関設置数や大学進学率など,教育達成の面で必ずしも有利な条件にない地方部に移住して子育て・教育を行う家族に着目し,その教育戦略の様相および移住して子育て・教育を行うという戦略の採用にかかる規定要因を明らかにすることを通じ,現代のペアレントクラシー化が進行する社会において,地方移住する家族が展開する教育戦略が持つ意味について社会学的に考察し,「地方創生」につながる子育て・教育環境の諸条件について検討することが本研究の目的である。 子どもの高い教育達成を目指し,保護者が積極的に子どもへの教育的関与をしたり,より濃密な教育意識のもとで子どもへの経済的投資を行ったりすることは,ペアレントクラシーにおいて保護者が採ることを求められる教育戦略である.しかし,そうした教育戦略には,決して小さくはないプレッシャーを保護者にもたらすというジレンマがある。全ての家族が「学歴社会の勝者となる」という一元化された到達点を目指す限りにおいて,家族の教育戦略の差異は「格差」へと帰結してしまう.しかし,家族の教育戦略研究におけるパラダイム転換の兆しが見え始めている状況のなかで,学歴社会・競争社会のレールから意図的に外れようとする教育戦略を採る家族に着目することは,業績主義に覆われた社会の問い直しへとつながる. 以上をふまえ,ペアレントクラシー化を相対化する認識に立脚しつつ,都市型家族の教育戦略とは対極にある,「地方移住する家族の教育戦略」に着目し,現在,地方に移住し,子育てをしている保護者に対してインタビュー調査を行い,地方移住した動機や子育てをめぐるヴィジョン,移住して子育てをすることのメリット/デメリットなど,多角的視点から聞き取りを行い,地方移住して子育てするという教育戦略を実現可能にする要因について検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査対象者へのアクセスにやや困難があり,当初計画していた件数のインタビュー調査を行えていないため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,都市部から地方部に移住してきた,子育て中の家族を対象とした質的・量的調査を行い,①移住を選択する保護者が展開する教育戦略の様相,②移住という選択を保護者に促す規定要因を明らかにする. 本研究では,混合研究法(mixed methods research)を採り,質的・量的の両面からの検討を行い,移住する家族の教育戦略の様相を重層的に描き出したい。2023年度については、都市部から地方部への移住者数の最も多い北海道地方に在住する移住家族を対象に聞き取り調査を進めている。2024年度は,質問紙調査を実施する予定である。調査票は,移住者の受け入れを行っている地方自治体を選定し,地方自治体を経由して,調査対象者に配布する。得られた定量的データの分析を通じて,どのような要因によって,地方移住が可能になるのか,また,地方移住する家族(保護者)の教育意識や戦略の特徴とは何かを明らかにする。
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