研究課題/領域番号 |
22K02345
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 中央アジア / カザフスタン / 中等職業教育 / デュアル教育 / ニート / キャリア教育 / 職業訓練 / 教育的ニーズ |
研究開始時の研究の概要 |
中央アジア諸国の人口は急速に増え続けており、約半分は30歳未満という若さで社会は活気づいている。ソ連解体後・独立以降30年が経つ今もなお、生産業の根幹をなす熟練労働者の育成は、中央アジア諸国に共通する重要な教育課題である。本研究では中央アジア5カ国における中等職業教育制度の現状と課題を、労働市場のニーズへの対応した教育内容、中等職業教育への地理的アクセス、中等職業教育への若者の期待という三つの視点から追究し、今後の中央アジア諸国が熟練労働者を育成するポテンシャルを明らかにする。近年、日本において中央アジア諸国から技能実習生が増えており、当該国の中等職業教育の現状と可能性の把握が重要である。
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研究実績の概要 |
2022年度には研究の理論的枠組みの検討を行い、カザフスタンの現地調査を実施した。 まず、理論的枠組みの検討に当たり、先行研究における職業教育の教育学的基盤と理念的基盤を整理し、職業教育を支える3原則ー本質主義、実用主義と実用主義の再建論を確認した。また、ソ連時代の職業教育の3原則(搾取からの解放・教育権利の保障、目的養成・職場は一、ポリテクニズム)を確認した。また、中央アジア4カ国のソ連時代から現在に至る中等職業教育制度・政策に関する先行研究の収集、整理を行った。 2023年3月にカザフスタンで予備調査を実施した。調査の目的は、インターネットでアクセスできないソ連時代の政策に関する一次資料(政策文書など)と教育行政機関、中等職業教育機関の視察であった。教育行政機関ではカザフスタンの最大都市アルマトゥ市の教育局とアルマトゥ州の教育局を訪問し、中等職業教育部では現状と課題について聞き取り調査を行った、調査の結果、市と州レベルの両方の教育行政機関において、中等職業教育と中小企業(雇用側)によるデュアル教育の実施が難航していることが指摘された。一方、通訳・翻訳者を養成している人文カレッジでは、雇用側とデュアル教育を行えるための法的基盤の未整備が指摘された。さらに、中等職業教育と高等教育の接続の問題が指摘され、進路指導の課題を把握できた。一方、一連の聞き取り調査を通して、カザフスタン政府はニート(NEET)若者の増加を懸念しており、対応策として2025年までに中等職業教育を完全無償化することを目指していることが分かった。しかし、この政策に関する公式な政府文書が発表されておらず、まだ立案の草案段階にあると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度に計画していた研究を概ね行うことができた。理論的枠組みの構築に向けて英語、ロシア語、カザフ語、日本語による先行研究を収集し、整理した。現地調査の計画では当初の予定ではカザフスタンとキルギス共和国を入れていたが、キルギス共和国では調査先の機関と調整をしてもらえるカウンターパートがまだ見つからず、2022年度には行けなかった。しかし、カザフスタンでは想定以上の資料収集・聞き取り調査を実施できたため、研究はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には引き続き先行研究の収集・分析、各国の政策文書の収集・分析を行う予定である。各国の中等職業教育の統計(機関数、学習者・教職員数、所在地の産業状況等)を収集・分析する。また、昨年度実施できなかったキルギス共和国の現地調査とタジキスタンの調査を準備する。2022年度のカザフスタンの現地調査の成果を分析し、比較教育学会で発表する。
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