研究課題/領域番号 |
22K02346
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 史子 東京大学, 教養学部, 特任講師 (80751544)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 批判的人種理論 / 特権性 / ホワイトネス / 多文化社会 / 移民 / 文化的に適切な指導法 / 外国につながる生徒 / 教員 / 教育 / 文化的に適切な指導 |
研究開始時の研究の概要 |
多くの学校が多民族化するなか、教員養成では移民生徒への指導のあり方や移民家庭の現状について学ぶ機会が少ない。一方、海外では、子どもの文化的多様性に応える「文化的に適切な指導(culturally responsive teaching)」(以下、CRT)の研究・実践が進められ、マジョリティの特権性が問い直されている。 本研究は、諸外国の研究を参照しながら、イギリスの移民集住地域の学校における教員の役割を明らかにする。また、日本の移民集住地域での調査を通じて、教員が移民生徒の学力保証や文化の承認を促進/阻害するメカニズムを明らかにする。日本の文脈にあったCRTの確立に向けた展望と課題を提示する。
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研究実績の概要 |
初年度である令和4年度は、第一に批判的人種理論(Critical Race Theory: CRT)およびホワイトネス研究などマジョリティの特権性に関する文献調査を中心に進めた。本研究の位置付けを精緻化するため、主に英語圏での移民の教育研究に対するCRTの貢献と今後の展望について検討した。第二に、移民生徒に対する教員の受け入れ意識に関する国内ケーススタディの一つとして、外国につながる生徒が多く在籍する高校において生徒調査および教員調査を実施した。具体的には、中国やネパールからの移民生徒を中心に、外国につながる生徒が生徒全体のおよそ6割を占める定時制高校において、全生徒を対象に学習と学校生活に関する質問紙調査を、また進路指導に関わる教員3名を対象にヒアリング調査を行った。ネパール出身の生徒について特に学習や学校生活に対して親和的な態度が見られた。一方で、教員のヒアリングでは着任時の外国籍生徒の多さに対する驚きや戸惑い、日本の学校生活における慣習の多くが共有されていないことやその指導に関する課題感が見られた。しかし、外国につながる生徒の家庭背景や出身国での学校経験等を知ることによって徐々に生徒理解が深まり、多様な文化的背景を持つ生徒の指導に対して前向きな捉え方に変化する可能性も見られた。外国につながる生徒と日本国籍生徒を比較可能な形で全生徒を対象に質問紙調査を実施できたことは大変貴重であり、成果を学会発表にて報告したが今後さらに論文の形にまとめていきたい。第三に、外国につながる児童が多く在籍する小学校を訪問し、学校選択制が敷かれる中で生徒の文化的多様性が高い現状が保護者や教員からどのように受け止められているか等についてヒアリングを行った。この学校における調査は2件目の国内ケーススタディとして令和5年度に継続して実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究計画の通り、令和3年度は本研究課題の精緻化に向けて文献調査を中心に進めた。さらに、予定を前倒しする形で国内ケーススタディを実施し、さらに当初の予定にはなかった小学校でのケーススタディも開始することができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定を前倒し、さらに追加する形で国内ケーススタディを開始することができたため、令和5年度については計画を若干変更し、国内ケーススタディとその成果報告に注力する予定である。当初の計画にある教員サーベイについては予定よりやや遅らせて令和6年度の実施を目指して準備していきたい。また、海外調査については予定通り令和6・7年度に実施できるよう、対象となる地域・学校の選定を進めたい。
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