研究課題/領域番号 |
22K02350
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
服部 憲児 京都大学, 教育学研究科, 教授 (10274135)
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研究分担者 |
宮村 裕子 畿央大学, 教育学部, 准教授 (80441450)
開沼 太郎 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (90388398)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 教育政策 / 教員の思考様式 / 教員の行動特性 / 学校経営 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、教育政策が円滑に機能しないことも少なくない現状に鑑み、政策が期待された効果を発揮するにはどうあるべきかを考察する。特に政策と教員の思考様式や行動特性との不適合、政策立案・実施側と教育現場との間のズレに着目し、現状分析とそれに基づく改善方策の探究とを行う。 このズレによる政策の機能不全を解消するため、教員の思考様式や行動特性を明らかにすること、それらをふまえた政策の立案・実施の方途を探究することを目的とする。そのために、①政策に対する考えや行動の変化およびその要因等の分析、②教員の特性をふまえた学校経営上の措置の開発、③これらを考慮した実効性のある政策の条件の検討を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では、教育政策が円滑に機能しないことも少なくない現状に鑑み、政策が期待された効果を発揮するにはどうあるべきかを考察する。特に政策と教員の思考様式や行動特性との不適合、政策立案・実施側と教育現場との間のズレに着目し、現状分析とそれに基づく改善方策の探究とを行うものである。このズレによる政策の機能不全を解消するため、教員の思考様式や行動特性を明らかにすること、それらをふまえた政策の立案・実施の方途を探究することを目的としている。そのために、①政策に対する考えや行動の変化およびその要因等の分析、②教員の特性をふまえた学校経営上の措置の開発、③これらを考慮した実効性のある政策の条件の検討を行うものである。 今年度は、前年度に行った上記①の分析を継続するとともに、当初計画に沿って、②についても研究を進めた。具体的には、前者については、前年度に行った聴き取り調査のデータについて、教員のタイプ別―ICT活用/アクティブラーニングを従前から行っていた教員(タイプⅠ)、従前は十分に行っていなかったが行うようになった教員(タイプⅡ)、今も十分に行っていない教員(タイプⅢ)―の分析を行い、学校経営上の工夫で改善を図るべき内容、学校と教育行政の連携により改善を図るべき内容、教育行政による条件整備により改善を図るべき内容について仮説的に整理し、学会報告を行った。後者については、学校においてICT活用やアクティブラーニングを促進するために行われている施策について、現地調査を行った。加えて、③の準備として、教員研修に関して教育センターへの聴き取り調査を行うとともに、関係する研修の見学を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究2年度にあたる本年度においては、まず、教員の政策に対する考えや行動の変化、変化を起こした(あるいは阻害する)要因の分析を継続して行った。前年度に行った全体的な分析を踏まえつつ、典型的な教員に着目してよりミクロな分析を行った。上記タイプⅡおよびタイプⅢに該当する教員を対象とした分析から、以下の2点が明らかになった。第1に、教員は新しい教育方法に対して一定のメリットを感じている。また、他者の実践を見て学ぶことを好む傾向にあり、実践モデルに対するニーズが高い。第2に、児童生徒に対する新しい教育方法の効果を一定程度感じているが、多かれ少なかれ実施に対する不安感があり、試行錯誤を繰り返している段階にある。 次に、教員の特性をふまえた学校経営上の措置の開発についての研究を行った。今年度は研究協力校で現在行われている関連する取り組み(専科教員を活用した推進体制、教員間の相互作用による教育力向上)について、現地視察や関係教員への聴き取り調査を通して、その効果や課題について情報を収集した。 さらに、次年度に実施予定の教員の特性や学校経営上の工夫を考慮した実効性のある政策の条件の検討の準備作業として、教育センターにより実施される研修について調査を行った。教員調査からはICT活用やアクティブラーニングについての実践例に対する需要が高く、そのような研修を求める声が多く上がった。しかしながら、実践例を紹介する研修は多く実施されており、さらに、いつでも視聴可能なオンデマンドのビデオ研修も整備されていることが明らかになった。 このように、予定していた作業は一定程度実施することができたが、教員調査の分析に当初予定より時間を要していること、その影響もあり学校経営上の研究に関する研究にやや遅れが生じていることから、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度においては、引き続き文献研究・Web上での情報収集を行うとともに、遅れている教員調査の精緻な分析、教員の特性をふまえた学校経営上の措置の開発についての調査を継続する。さらに、上述の研修を提供する側と受ける側とのズレに着目しつつ、教員の思考様式や行動特性を考慮した実効性のある政策の条件の検討を行う。 教員調査については、現在行っている質的分析法(SCAT)を用いた教員タイプ別の分析をさらに進め、政策の円滑な実施に資する手がかりとなる教員の思考様式や行動特性を明らかにすることを試みる。学校経営上の措置については、前年度に行った調査データの分析を進めるとともに、今年度における取組状況の調査を行う予定である。校長が交代する研究協力校もあるので、その場合には新校長の学校経営方針や新しい取り組みについても調査の対象とする。 実効性のある政策の条件の検討については、前年度の調査で明らかになった研修に関する教員の認識と教育センターによる研修の実施状況のズレについて分析を行う。このズレの要因としては、実践例の内容やレベルが教員の需要に合っていない可能性、研修に参加したくてもできない可能性、オンデマンド研修に関してはその存在が十分に認識されない可能性が考えられる。管理職や教員への聴き取り調査等によりこの点を明らかにした上で、総合的に上述の本研究の目的に迫りたい。 なお、最終年度になるので、成果の発信(学会報告・研究論文等の形で研究成果の公表)も積極的に行っていく予定である。
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