研究課題/領域番号 |
22K02357
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 桃山学院大学 |
研究代表者 |
小野 康子 桃山学院大学, 共通教育機構, 契約教員 (30712179)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 少数民族 / リス族 / 教育 / ライフヒストリー / 基礎教育 |
研究開始時の研究の概要 |
タイ王国における多数民族であるタイ民族とは異なる文化背景を持ちタイ語を母語としな少数民族の子どもたちは、学校教育の場において様々な課題に直面している。本研究ではタイ北部の少数民族であるリス族を対象として、彼ら自身のタイ語による教育の捉え方、タイ語習得の経験、その経験が現在の生活や仕事に与えている影響などについてライフヒストリー手法を用いて明らかにする。当事者の語りを社会的背景の中で整理、関連付け、複数の語りの比較と分析を行い、彼らの経験を再構築する。そのうえで非母語による学校教育の実態および課題を提示し、彼らの母語および文化を取り入れた効果的な学校教育推進にむけた教育支援の在り方を考察する。
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研究実績の概要 |
本研究では、タイ北部山岳地域出身の少数民族リス族でタイ語による教育を受けた成人(主に20代から30代)が学校教育をどのように捉えているかについて、ライフヒストリー手法を用い明らかにする。 初年度は、メーホンソーン県のリス族の村を3箇所訪問し、生活習慣の体験および教育環境や文化・慣習等に関する情報収集をおこなった。今回訪問したリス族の各村では小学校が設置されており、村長や保健所所長等への聞き取りによると小学校適齢期の子どものほとんどが学校へ通っているということである。タイ人の教員に加え、その村出身のリス族の教員も若干名配属されていた。各村に中学校はないため、小学校卒業後、子どもたちは近くのタイ人地区の町にある中学校に通っている。また、訪問村落では、電気が通ってない村もあったが、スマートフォンの普及は確認された。上記3か所の村では、上記タイ人地区である町への行き来が日常的に行われている。 次に、チェンマイ市にてインタビュー調査対象者5名を選定し、そのうちの4名へ対面による基本情報(氏名、年齢、出身地、家族構成、学歴、現在の職業、現在の主な使用言語等)の聞き取り調査を実施した。選定した対象者は、20代から30代の男性2名、女性3名である。うち大学生が1名、それ以外は仕事についている。リス族であるコーディネーター兼通訳を通し、聞き取りを行ったが、通訳には、タイ語を使用している場合も多く、タイ語とリス語両方を自然に使用していることが見て取れた。また、今回の面会にて、今後の調査協力について丁寧な説明を行い、信頼関係を構築することができた。このことは今後の調査の進捗に良い影響を与えると実感した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初初年度の計画では、新型コロナの流行を鑑み遠隔による基礎調査の実施を予定していたが、タイおよび日本の入国制限の緩和および現地コーディネーターの協力により、現地での基礎調査を実施することができた。また、インタビュー調査対象者へ直接対面し信頼関係が構築できたことは、今後の調査の進捗に良い影響を与えると思われる。 なお、少数民族の子どもを取り巻く教育環境についての課題の考察および社会的、経済的逆境を乗り越え良好な学習成績を収める子どもに関する先行研究の分析や比較等に関しては今後さらに情報収集を進めることとする。
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今後の研究の推進方策 |
基礎調査をもとにタイチェンマイにて本調査を進める。すでに選定している5名の対象者に幼少時から義務教育時における学校生活、成績、家庭生活、友達との関係等や現在にいたるまでの仕事や生活について非構造化インタビューを実施する。個人的な内容となるため、対象者が安心して話しやすい環境をつくることを心がけたい。 次に、その録音した内容を文字テクストへ変換し、そのテクストをもとに、当時のタイ内外の社会事情や教育政策等と照らし合わせながらその内容を分析・解釈し、ライフヒストリーへの再構築を行う。 その上で、分析によって明らかとなった学校教育と人生の関わりの特徴を考慮し、現在の少数民族の子どもが母語や文化の重要性を再確認しながら、学校教育において学習成果を発現できるような教育支援の在り方を考察する。それらの考察をまとめ、国内外の国際開発関連の学会にて中間成果の発表を行う。 さらに、上記学会等の結果をもとに、非母語による教育の実態のとりまとめおよび効果的な教育支援の在り方を考察し、国内外の教育関連の学会にて研究成果を 発表し、再度、国内でワークショップを開催し、他の研究者との議論結果を反映させ、総合的な分析および論文執筆を行う。
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