研究課題/領域番号 |
22K02359
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 武蔵野短期大学 |
研究代表者 |
野村 和 武蔵野短期大学, その他部局等, 教授 (70435238)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 近代メディア / 女子教育 / 女学校 / 言説分析 / 近代女子教育 / 高等女学校 / 婦人雑誌 / ジェンダー / 女学生 |
研究開始時の研究の概要 |
近代に形成された女性観と、そこに女子教育が与えた影響を考察するための新たな視点として、高等女学校等の女子教育機関とそこで学ぶ女性たちに向けられた社会的なまなざしとその変遷を明らかにすることを目的とする。そのために、雑誌及び新聞における言説分析を主に行う。具体的には、女学生に関する記事と、「女学生」「女学校出」等に対する肯定的もしくは否定的な評価的言説から導き出される「求められる女性像」を検討する。対象とするのは、1880年代から1930年代であり、特に「高等女学校令」が公布される1899年前後や、実科高等女学校の設置が認められる1910年前後の変化に着目してその変遷を明らかにするものである。
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研究実績の概要 |
2023年度においては、①前年度に収集、抽出した新聞記事の分類及び分析、②新聞記事を中心とした記事内容の分析、③高等女学校等の女子教育制度の成立普及状況との比較検討を実施し、特に「東京朝日新聞」の記事分析の結果を「明治・大正期の新聞に見られる女学生イメージの考察」として『武蔵野短期大学研究紀要』に投稿した。 2023年度の研究実績として明らかになったのは以下の3点である。 まず、「女学生」という文言は単純に高等女学校生徒に制限されずに使用されていることに注意が必要ではあるが、1920年以前の記事内容は批判的内容が大勢を占めていることも明らかになった点である。近代における女子教育の整備普及過程は、教育史では肯定的に捉えられるが、社会の中では肯定的には受け止められていなかったといえる。 また、女子教育に関してのメディアでの言及は小学校卒業後の女子に対する教育機関として高等女学校が制度的に確立してから20年程度のタイムラグが存在している。一度、女子教育が社会的に存在感をもった後には、『青鞜』創刊などのインパクトある新しい女性観が即時的に、女学生に関する言及にその影響として表れる。ジェンダーイメージ形成とその内面化の検討には、そうした背景との関連性をふまえることが重要であることが改めて認識できた。 さらに、女学生をめぐる言説は女学生に対しての揶揄的かつ警戒的な文言が多いのが明治期である。1920年代に入ると、女子教育への肯定的な言及や発展的批判へと進化していく変遷が見てとれた。大正時代末期には批判的言及は減少して、青年団等と地域で活動する女学生を好意的に報道する記事も増加している。 女子教育が国家戦略に組み込まれていく過程などの先行研究は見られるが、そういった過程の検討には社会的まなざしが当時の女性たちに与えた影響等を踏まえての視点を含めていくことが重要となるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新聞の記事分析による女学生イメージの変遷の検討は順調に進んでいるものの、当初の計画にあった雑誌記事の集積が遅れている。原因は目次項目から抽出できる記事が予想より少ないことにあり、記事の収集には雑誌そのものへのアクセスが求められるが、その作業ができていない。
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今後の研究の推進方策 |
雑誌記事の分析が思うように進んではいないが、新聞記事の分析による女学生イメージの変遷がある程度考察できている。最終年度となることを踏まえて、雑誌記事の収集も継続しながらも、新聞記事の質的な分析を重点的に行うことで目的の達成を目指していくこととする。 本年度は、新聞記事から抽出した女学生関連記事の分析と、女子教育制度の歴史的展開とを関連付けて、女学生イメージの変遷について関連学会で発表し、その成果を論文として投稿する予定である。
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