研究課題/領域番号 |
22K02361
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
徳永 智子 筑波大学, 人間系, 准教授 (60751287)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 移民 / 学生支援 / 参加型アクションリサーチ(PAR) / 批判的若者研究 / 日米比較 / ストレングス / エンパワメント / 日米 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、参加型アクションリサーチ(PAR)のアプローチから、日米における移民の大学経験と支援の実態を考察することで、移民の若者の大学へのアクセスや学業継続を保障する大学の支援のあり方を検討する。PARとは、これまで研究対象者として客体化されてきた人々を「専門家」や「パートナー」として捉え、研究の全てのプロセスにおいて対等な立場で関わり、共に「知」を生み出すことで状況改善や社会変革につなげる、より倫理的で公正な研究を追求するアプローチである。ローカルな知識や経験をもつ移民学生と研究に取り組むことで、移民のストレングスに基づく支援のあり方を考察できる。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、移民の学生支援の参加型アクションリサーチ(PAR)プロジェクトの一環として、主にアメリカの大学での調査と移民学生へのインタビューとワークショップをオンラインで実施した。夏にアメリカの大学を訪問し、共同研究者との打ち合わせ、移民の学生支援に関する資料収集、大学の教職員へのインタビュー等を実施した。主に移民学生への認識、移民学生への支援政策や実践、大学の支援体制やその課題について聞き取りを行った。秋以降、PARプロジェクトに参加する移民学生を日米で募集し、PARチームを形成後に、学生への半構造化インタビューおよびグループでのワークショップを複数回オンラインで実施した。移民としての経験、学校経験、大学進学や大学での経験、大学での帰属意識等について議論し、参加者の共通点や相違点、日米の大学の支援体制の課題等について協働で考察を深めた。 関連して、移民生徒が多く在籍する日本の高校において、大学生・大学院生とともに、高校生の教育ニーズの把握や居場所づくりなどを行い、大学進学を視野にいれたキャリア支援のあり方について考察した。 これまでの研究成果の発表も継続的に行い、移民高校生の居場所づくりとキャリア支援に関する論文は『日本語教育』に掲載され、批判的若者研究やPARの視点から高校でのPARプロジェクトを考察した論文は『教育学年報』に掲載された。4月には『外国につながる若者とつくる多文化共生の未来』と題する編著本を出版し、7月にその成果を広く発信すべく、オンラインのトークイベントを企画し、高校の教員、NPOスタッフ、移民の若者など執筆者一同による報告やディスカッションを実施した。また編著本の成果も踏まえて、教員や公認心理士向けの研修の講師を複数回務めた。他、複数の国内外の学会で関連する研究の成果発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アメリカの大学を訪問し、移民の学生支援のPARプロジェクト実施に向けた準備を行い、プロジェクトのチームづくりと学生へのインタビュー・ワークショップを実施することができた。学生たちは学業を継続するうえで法制度の障壁や経済的障壁など様々な困難を経験しながらも、自らネットワークや資源を開拓していくなど多くの強みも持っており、障壁と強みの両視点から今後の分析を進め、施策・実践の改善に役立てたい。 これまで継続してきたPARプロジェクトの研究成果についても、書籍や学術論文、学会などで発表することができた。また、教員や支援者向けのイベントや研修会なども複数回行い、本研究の成果の還元ができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、移民の学生支援のPARプロジェクトを継続し、収集したデータの分析を進め、その知見をもとに共同研究者や参加学生とともにアドボカシー活動を行いたい。また、アメリカの大学を訪問し、移民の学生支援を行う部署を中心に教職員を対象として、より掘り下げた半構造化インタビューを実施したい。さらに本プロジェクトの研究成果は、国内・国際学会での発表や国際学術誌への投稿に向けて、準備を進める。 日本の移民生徒支援のアクションリサーチについても、大学生・大学院生とともに進め、移民のコミュニティの文化資源を活かす支援のあり方や多様なアクターとの連携による支援のあり方について考察を深めたい。 引き続き、多分野の研究者、教員、支援者、政策立案者、若者等との対話を重ねて、研究成果の発信や移民の若者支援の充実化に向けてアクションを取っていきたい。
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