研究課題/領域番号 |
22K02364
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
太田 拓紀 滋賀大学, 教育学系, 教授 (30555298)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 教員養成 / 私立大学 / 歴史社会学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は戦後初期私立大学における教員養成の再編と機能を明らかにするものである。初年度は、終戦直後に私立大学が中等学校教員養成を再編していく論理を検証する。2年目は、私立大学が1950年代半ばに小学校教員の教職課程を制度化するプロセスを明らかにする。3年目には、戦後初期の教員社会で私学出身教員が担った役割について数量的に分析を行う。以上により、戦後の私学による教員養成の意義と課題を再検討したい。
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研究実績の概要 |
今年度は戦後初期の私立大学が小学校・中等学校の教員養成をいかなる論理で制度化(教職課程の設置)・再編(高等師範部から一般学部へ)したのかについて、公文書を中心に資料を探索・収集した。その過程で、教職課程の認定を申請したものの許可が下りない事例も複数みられており、制度化に際しては相当な試行錯誤があったことが分かってきている。今後は、認可の基準として何が主なポイントとなったのかを確認し、私学による養成の制度化との関連を探る予定である。 あわせて今年度は、各大学発行の年史を参照し、私立大学教員養成の制度化・再編の概観を整理してきた。全般的に多くの私学の年史では、戦後初期の状況は学部・学科の増設・拡大過程が中心的に描かれており、教員養成に関わる記述はそれほど多くはなかった。ただ、大学発行の新聞・雑誌には、教員養成に着手する経緯や当時の状況が比較的記録されていた。今後は内部資料にアクセスすることが一層求められると認識している。 さらに、私学の教員養成の制度化に関与した、当時の教職員による手記・回顧録も探索してきている。必ずしも多くはないが、教職員の自伝にも当時の記述があり、手がかりになると判断している。また、教職員のインタビュー記録が残っている大学もあり、こちらも有効な資料として活用が可能である。 他にも、新制度学派の組織論を主に参照し、養成の制度化における理論的枠組を検討してきた。また、戦前の教員養成との接続を探るという点から、昭和初期中学校の教員養成に関連する論文を発表した(『子ども社会研究』第29号・印刷中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度の前半は感染症のリスクが高まって行動制限があり、研究対象の大学が所在する東京方面への出張が困難となった。また、多くの私立大学の図書館等は、年度の後半でも、外部の利用者に対して利用が限定され、訪問がほぼ不可能であった。そのため、公文書館での資料探索や大学の年史を中心とした資料収集が中心となり、各私立大学が保持する内部資料に十分にアプローチすることができなかった。令和5年度は感染対策の大幅な緩和が予想されるため、遅れを挽回できるように努めたい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究が想定する主な資料は私立大学資料室所蔵の内部文書であり、今後はまずこの部分にアプローチして、そこから養成に関わる意思決定や議事等を記録した内容を探索したい。また、当時の教員養成改革や国立大学教員養成の動向、国の私立大学政策等の外部要因も、私学の養成の制度化・再編に関係すると想定されるため、今後はこの点にも十分に配慮して研究を行いたい。さらに、理論的枠組としての新制度学派の組織論が、教員養成の制度化にいかに適用できるかについても、引き続き検討していきたい。
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