研究課題/領域番号 |
22K02366
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
柳林 信彦 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (30516109)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | 分権的教育改革 / 首長と教育委員会 / 地方教育行政機構 / 教育委員会制度 / システミック・リフォーム / アメリカ教育改革 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、〈1.首長(部局)と教育委員会(教育長)との関係構造の解明〉、〈2.米国「教育行政機構の再編と役割の再定義」や「効果的な学区」論に見られる教育委員会の新たな役割の発見〉、〈3.米国システミック・リフォーム・コンセプト、及び、教育改革におけるシビック・キャパシティ・コンセプトに基づく改革戦略の特質〉の3つの視点を構築し、首長主導型で包括的な教育改革であるケンタッキー州の教育改革政策、及び、首長が強いリーダーシップを発揮した事例である高知県の教育改革施策の分析をとおして、地方教育行政機構の在り方(首長(部局)と教育委員会との関係、教育委員会の役割の再定義と充実の方途)を解明する。
|
研究実績の概要 |
2022年度は、課題1、及び、課題3を中心的に進めることを計画していた。まず、課題1「首長-教育委員会関係分析、及び、分権改革の改革戦略分析のための理論的枠組みの構築」については、アメリカにおける首長-教育委員会関係論研究(ヘニグ(Jeffrey R.Henig)を中心に)、及び、「効果的な学区」論(フラン(Fullan,M)を中心に)、システミック・リフォーム・コンセプトの理論研究の3つの柱に関する関連書籍の収集と整理と考察を進めた。 つぎに、課題3「地方創生・分権改革期の地方教育行政機構の在り方の解明(高知県の事例を中心に)」に関しては、高知県の教育改革施策に関して、学校の組織化と組織マネジメント改革(チーム学校の構築)、及び、多様な学習機会の保障(県立の夜間中学校の設置)の施策を取りあげ、政策立案に当たった高知県教育委員会関係者、高知県内市町村教育委員会関係者、あるいは、改革の具体的な実施者である学校への聞き取り調査、及び、資料収集と分析を行った。課題3に関する研究の推進から得られた知見について、今年度は特に、学校の組織化と組織マネジメント改革(チーム学校の構築)に関して、改革施策の実施レベルの中心である学校での改革の顕れや取り組みに関する考察から得られた知見をまとめ、学術論文として発表した(能勢朋典、柳林信彦「学校教育目標共有のための方策とその試行―高知県A町立B中学校の事例に着目して―」『高知大学教育学部研究報告』第83号 、pp.55-65、2023年3月:能勢朋典、柳林信彦「中学校における学校教育のDX方策についての検討」『高知大学学校教育研究』第5号、pp.1-11、2023年3月)。 また、課題2のケンタッキー州の改革政策であるKERAの事例分析(教育行政機構改革、知事の影響力、学区教育委員会の役割を中心に)のための現地調査の準備を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度に関しては、課題1の理論的枠組みの構築作業を中心としつつ、課題3に関連する教育改革施策に関するデータの収集を行うことを計画していた。 課題1に関しては、システミック・リフォームや効果的な学区研究など分析視角の構築と精緻化のための文献の収集と検討を予定通り進めることができた。 課題3に関しては、改革の形成実施に関わった諸関係者(高知県教育委員会や近隣市町村教育委員会関係者、学校関係者など)への聞き取りや資料収集とその整理・分析を行うことができ、分権的教育改革施策の考察のための枠組みの形成と精緻化を行うことができた。 あわせて、特に改革の実施における中心的なアクターである学校での改革実施のありように関して得られた資料の一部を用いた分析を行い、その結果をまとめて論文として発表できたことによって、研究課題解決のための研究知見の蓄積を進めることができている。 また、課題2のケンタッキー州の改革政策であるKERAの事例分析のための現地調査の準備を進めることもできている。 以上のことから、本研究の現在までの進捗状況は概ね順調に進展しているとの自己評価を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度には、当初の研究計画に従い、課題2「KERAの事例分析(教育行政機構改革、知事の影響力、学区教育委員会の役割を中心に)」に関して、ケンタッキー州の改革政策であるKERAの現地調査を行い、首長主導型教育改革であるKERAの計画・実施で知事が果たした役割、コミッショナー制教育長導入の意義と課題、州教育局の改組や学区教育委員会の役割転換、知事と教育委員会との関係、改革政策の成果と評価などについて分析を行うことを予定している。 また、当該調査によって得られた知見を、特に、KERAの計画・実施での知事の役割、州教育局や学区教育委員会の役割転換などの点に関する事項を中心的に検討し、前年度に構築した理論的枠組みを精緻化する。 併せて、課題3「地方創生・分権改革期の地方教育行政機構の在り方の解明(高知県の事例を中心に)」に関しても、引き続き、聞き取り調査の実施と改革関係資料の収集などを行うとともに、それらのデータの分析を、課題1及び課題2の研究知見を随時活用して、分権改革における首長と教育委員会の関係の在り方と改革を効果的に遂行するための、首長や首長部局の役割も含んだ地方教育行政機構の在り方の解明を進めていく。
|