研究課題/領域番号 |
22K02407
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
中島 寿子 山口大学, 教育学部, 教授 (70293727)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 保育プロセスの言語化 / 協同的省察 / 保育記録 / 園内研修 / SOAP / ALACTモデル / 実習指導 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、保育実践について協同的に省察する場に研究者が継続的に参加して、具体的な保育場面での子どもの姿を基に省察する機会をつくり、省察を促進する「ALACTモデル」(Korthagen et al,2001)と保育プロセスの意識化を促進する「SOAP」(河邉,2019)の視点を取り入れた支援を実施する。そして、このような支援によって、保育者の保育についての語りや記録がどのように変化するのか、その変化にどのような具体的な支援が関係しているのかを解明する。この研究成果をもとに、子どもの姿に基づく保育プロセスの言語化促進に効果的な支援プログラムも開発する。
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研究実績の概要 |
本研究は、保育者が子どもの姿から経験や育ちを読み取り、次に必要な経験を考えて保育を実践すること、そのプロセスが他者にも伝わるように言語化することを促進するための効果的支援についての研究である。そのための方法として、保育実践についての協同的省察の場に継続的に参加し、省察を促進する「ALACTモデル」(Korthagen et al,2001)と保育プロセスの意識化を促進する「SOAP」(河邉,2019)の視点を取り入れた支援を実施することで、保育者の保育についての語りや記録がどのように変化し、その変化にどのような具体的支援が関係したかを明らかにすることを計画した。 協力園のうち2園(幼稚園1園、保育園1園)では、保育記録をもとにした園内研修に参加し、「ALACTモデル」における「具体化を促す問い」(自分と子どもの行為、考え、感情、願いについて振り返るための問い)を用いた支援や、子どもの姿(S)から経験や育ちを読み取り(O)、さらに必要な経験(A)と環境構成(P)について考える「SOAP」の視点を取り入れた支援を実施した。この園内研修を通して、保育者の保育についての語りや記録に変化が見られ、その変化にどのような具体的支援が関係したかも明らかとなった。また、今後の課題も明らかとなった。 他の協力園(幼稚園1園)では、複数担任クラスの保育者が保育後に行うミーティングに参加し、その記録をフィードバックすることを中心とした支援を実施した。この園の保育者の語りからは、子どもの姿から経験や育ちを読み取り、次に必要な経験を考える保育のプロセスは理解しているが、そのプロセスの言語化は十分でないことが明らかとなった。また、この支援によって、保育者自身の中でも保育プロセスの言語化が課題であることが意識化され、改善のための手立てを考え始めたことが、その後のインタビューから明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目である2022年度は、先行研究とこれまでの園内研修への参加経験をもとに、保育者が子どもの姿を基に保育を振り返り、その保育を言語化する力を身につけていくための効果的取り組みについて論考した論文を執筆した。 協力園2園での園内研修は、年間を通して定期的に実施した(幼稚園計5回、保育園計6回)。省察を促進する「ALACTモデル」と保育プロセスの意識化を促進する「SOAP」の視点を取り入れた支援を継続的に実施する中で、他者に伝わりやすく言語化することの必要性を保育者自身が実感するようになり、保育記録や話し合いにおける子どもの姿についての言語化はかなり促進された。しかし、子どもの姿から経験や育ちを読み取り、次に必要な経験や、そのための環境構成を考えることや、そのプロセスを言語化することは難しい保育者が多かった。 他の1園では、園側の事情もあり、当初の計画を修正して、複数担任保育者の保育後のミーティングに参加した。ミーティングへの参加回数も当初の計画より少なくなり、計3回となった。しかし、この園の保育者は、子どもの姿から経験や育ちを読み取り、次に必要な経験を考えて保育を実践するプロセスは理解していたことから、短期間の支援によっても、保育プロセスの言語化が自分たちの課題であることを意識化するようになり、その意識化にどのような具体的支援が関係したのかについても、その後のインタビューによって明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2年目の2023年度は、2022年度の研究成果をもとに論文執筆、学会発表に取り組んでいく。また、協力園2園(幼稚園1園、保育園1園)での園内研修に引き続き参加し、子どもの姿から経験や育ちを読み取り、次に必要な経験や、そのための環境構成を考えること、そのプロセスを言語化することを促進するための支援をより重視していく。そして、このような園内研修を通して、保育者の保育についての語りや記録がさらにどのように変化するのか、その変化にどのような具体的支援が関係したのかについて明らかにしていく。 3年目の2024年度には、それまでの研究成果をもとに、子どもの姿に基づく保育プロセスの言語化促進に効果的な支援プログラムも開発できるようにしたい。
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