研究課題/領域番号 |
22K02428
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
|
研究機関 | 公益財団法人東洋文庫 |
研究代表者 |
瀧下 彩子 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (50370177)
|
研究分担者 |
伊藤 遊 京都精華大学, 付置研究所, 准教授 (70449552)
山中 千恵 京都産業大学, 現代社会学部, 教授 (90397779)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 学習マンガ / 歴史教育 / 子ども学 / 学年誌 / 歴史認識 / 児童教育 |
研究開始時の研究の概要 |
日本のマンガ表現は近代以降に子どもの娯楽として発展し、情報伝達性の高さや娯楽読物としての人気が注目され、学習マンガに類する作品が作られるようになった。1970 年代以降には、ジャンルとして大きな産業的発展が見られる。しかし、学習マンガはこれまで研究対象として看過されてきたため、教育現場においては学習マンガを評価し活用する方法論が存在しない。本研究では学習マンガを研究の俎上に載せ、1950年代に初期の学習マンガ単行本が発行されるまでの時期の「学年誌」を中心に、子どもに必要とされた知識がいかにマンガ表現と結び付けられたかを問い、社会空間においてポピュラー文化領域の表象が持ちえた力を検討する。
|
研究実績の概要 |
2023年度は、1922に創刊した小学館の学年誌『小学*(学年)年生』を中心に、1930年代から1960年代までの中国関係記事(マンガを含む)の詳細についてデータ化し、子どもの教養・知識として求められた中国認識のあり方を分析した。特に戦前において、日中戦争が長期化するなか、1943年を境に子どもへの中国情報が、「戦勝」描写から「日常」描写へと移り変わることは極めて興味ぶかい。この点については、従軍した文化人の手記や回想録などをあわせて分析し、戦中日本人の対中認識の変遷の一角として検討したく思う。 日本社会の価値観そのものが戦前から戦後へと極めて大きな変化を余儀なくされる時代にあって、児童教育の一形態である学年誌が中国を扱おうとする時、いかなる配慮、表現のあり方が求められたのかを検討し得たことは、戦後日本人の中国認識の形成過程を考察する上でも有意義であったと考える。 また、国内学習マンガ制作関係者へのインタビューについて、随時オンラインで研究打合せを実施すると同時に、インタビュイーとの調整、情報共有を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究においては、学年誌に掲載された学習マンガを抽出することを一つの目的としているが、1950年代までの学年誌においては「マンガ」形態をとる記事が少数であること、国会図書館等において掲載記事のデータ公開が進んでいることから、データベース化作業を省力化する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
国内の歴史学習マンガ制作に携わった関係者、主として監修を担当した研究者へのインタビューを行い、社会が子どもの歴史学習に必要とみなした要素を分析するとともに、歴史研究者が専門的知識を如何にして児童教育の内容へと集約・昇華していったか、その方法や意識のあり方を検討する。
|