研究課題/領域番号 |
22K02438
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
玉瀬 友美 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (90353094)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 絵本 / 集団読み聞かせ / 相互行為 / 読み聞かせ |
研究開始時の研究の概要 |
幼稚園教育要領の領域「言葉」における絵本の読み聞かせに関わるねらいには、読み聞かせの場に共にいる者が絵本のイメージを共有することの重要性が示されている。 本研究の目的は、保育場面での絵本の集団読み聞かせにおける相互行為を分析し、幼児が保育者や他児との言語的・非言語的やりとりを通してどのように絵本のイメージを共有しているかを明らかにすることである。 本研究の成果から、各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら多様な他者と協働しイメージを共有していくことが重視される小学校教育への、幼児教育からの円滑な接続に関する研究への貢献が期待される。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、保育場面での絵本の集団読み聞かせにおける相互行為を分析し、幼児が保育者や他児との言語的・非言語的やりとりを通してどのように絵本のイメージを共有しているかを実証的に明らかにすることである。 研究計画に基づき、令和4年度は集団読み聞かせにおいて使用する絵本の種類に焦点をあてた。オノマトペは短い音節で構成されており、五感に働きかけ、五感を使って印象を鮮明かつ簡潔に表現することを可能とする言語活動の一つであり(原子・奥野,2007)、「イメージ喚起が強い語」(村瀬・寺山,2018)である。このようなオノマトペを使用した、文字の少ない絵本の集団読み聞かせにおける幼児と保育者、および幼児間の相互行為を検討するにあたり、その予備的調査として、絵本に出現するオノマトペについて調査した。その結果、絵本の対象年齢とオノマトペの種類に関連性がみられ、絵本の中のオノマトペは、幼児が絵本をどのように理解できるかに応じて使い分けられていることが明らかとなった。この成果を学術論文としてまとめた。ここで得られた知見を基礎として、令和5年度は、文字の少ない絵本の集団読み聞かせにおける幼児と保育者、および幼児間の相互行為を検討した。その結果、保育者は、ストーリー理解を先導するのでなく、幼児の発言を繰り返すという行為とジェスチャーを用いて幼児の発言を促し、登場人物の行動に注目させていること、そして、このような保育者の言語的・非言語的行動によって、幼児は各場面を意味づけ、登場人物の内面を読み取り、イメージを広げながら絵本のもつ想像世界を楽しんでいることが明らかとなった。この成果を令和5年度の国際学会と日本保育学会において発表し、学術論文としてもまとめた。令和6年度は、このような研究成果をもとに、集団読み聞かせ場面における保育者と幼児および幼児間の相互行為を観察した記録の分析をさらに進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は、保育場面での絵本の集団読み聞かせにおける相互行為を分析し、幼児が保育者や他児との言語的・非言語的やりとりを通してどのように絵本のイメージを共有しているかを実証的に明らかにするための予備的調査として、絵本に出現するオノマトペを調査し、学会で成果を発表し、学術論文としてまとめた(高知大学教育学部研究報告第84号,31-39)。ここで得られた知見を基礎として、絵本の集団読み聞かせにおける幼児と保育者、および幼児間の相互行為を検討した。この成果を2023年度の国際学会(Pacific Early Childhood Education Research Association)と日本保育学会において発表し、学術論文としてもまとめた(高知大学教育学部研究報告第84号,53-58)。このため、進捗状況としては「おおむね順調に進展している」といえる。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、保育場面における集団読み聞かせを観察し、記録し、データ分析をさらに進める予定である。保育場面における絵本の集団読み聞かせにおける相互行為を分析し、令和6年年5月の国内学会、8月の国際学会で発表を行うことを予定している。さらに、学会で発表した内容を整理し、学術誌に投稿する予定である。今後は、さらに「読み手」「聞き手」「共にいる聞き手」の視点から、集団読み聞かせにおける幼児と保育者間だけでなく、幼児間の相互行為を分析し、幼児における絵本のイメージ共有過程を明らかにする。
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