研究課題/領域番号 |
22K02481
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 四條畷学園短期大学 |
研究代表者 |
金川 朋子 四條畷学園短期大学, 保育学科, 准教授 (60760973)
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研究分担者 |
赤田 太郎 四條畷学園短期大学, その他部局等, 講師 (10585714)
大橋 徹也 同朋大学, 社会福祉学部, 准教授(移行) (40632055)
舟越 美幸 大阪健康福祉短期大学, 保育・幼児教育学科, 准教授 (70862902)
中島 賢太郎 鹿児島純心女子短期大学, その他部局等, 准教授 (80881870)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 高信頼性組織 / 心理的安全性 / ワークエンゲージメント / 組織づくり / 保育者 / 新たな尺度 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、保育・教育現場における高信頼性に寄与する保育者の心理的・社会的要因を明らかにすると共に、高信頼性組織を導く管理職のリーダ―シップの役割と研修の在り方に着目した、心理的安全性(保育者間の深い信頼関係)の高い職場づくりガイドの開発である。 本研究では、高信頼性組織の構成概念であるワーク・エンゲージメント(仕事に対する充実感と活力)と心理的安全性の両立を実現する管理職の役割(組織マネージメント)と研修の在り方に着目し、保育者に協力を得た量的研究及び行動分析等による質的研究に取り組む。本研究は、安心安全の環境のもと、子どもの一人一人の発達に寄与するものになると考える。
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研究実績の概要 |
保育・教育現場では、子どもの命を預かり、安心安全な環境のもと、つまりは、高信頼性の保証された環境での子どもの発達保障が求められている。また、その保育・教育を担う保育現場では、保育者の早期離職の問題があり、保育者が働き甲斐や生きがいを見いだすことができる職場づくりが望まれている。さらに、配慮を要する子どもへの対応として、複数の保育者によるチーム保育や多職種職員との連携も求められている。 本研究では、保育の安全性、保育の質の向上、保育者の人間関係上のストレス、離職問題の観点から、心理的安全性に注目をし、「心理的安全性を高めることが、保育における連携力を高め、保育者ストレスの軽減、保育者メンタルヘルスの向上、ワークエンゲージメント(仕事へのやりがい)の向上、創造的な保育教育の質の向上につながる」という仮説に基づき研究に取り組む。 現在、心理的安全性の尺度は教員や一般就業者、看護師を対象として標準化されたものがあるが、保育者への尺度の適用可能は必ずしも保証されていない。 そこで、心理的安全性尺度保育者版(Japan version of Team Psychological Safety for Nursery Teacher:JPSNT)を作成し、信頼性、妥当性の検討を行い、保育・教育現場における高信頼性に寄与する保育者の心理的・社会的要因を明らかにすると共に、高信頼性組織を導く管理職のリーダ―シップの役割と研修の在り方に着目した、心理的安全性(保育者間の深い信頼関係)の高い職場づくりガイドの開発に取り組む。保育現場では、多様な子どもへの対応、保育の充実を目指し、チーム保育が求められている。チームで保育を行う上で、保育者間の連携はより重要となり、その点からも、心理的安全性の確保が求められている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
保育現場における心理的安全性に関して、これまで取り組んできている研究について、学会発表、論文作成に取り組んでいる。 1年目先行研究等に基づき、心理的安全性について研究に取り組んできた。研究デザインに基づき、共同研修者とも検討を進めてきた。 2年目は、心理的安全性尺度保育者版作成については、インタビュー調査を行い、質的研究から尺度項目の作成に取組んだ。インタビュー調査では、逐語録から質的研究分析に取り組んだ。さらに、関連する既存尺度(チーム保育実践尺度、ノンテクニカル尺度他)を用いた予備アンケート調査を実施した。本年度尺度完成予定だったが、最終検討を3年度に繰り越している。3年目の研究では、尺度を完成させたのち、作成した尺度を用いた調査を用いた実践的事例検討に取り組む予定である。2年目の研究では新たな情報、示唆を得るために、保育関連の研究大会での口頭発表にも取り組んだ。研究成果を論文にまとめた。 新たに開発を検討している尺度に関しては、既存の心理的安全性尺度は、自己の視点からの評価のみであるため、自己に対する他者からの評価をどのように捉えているかという評価(他者からの評価)を追加し、心理的安全性を構成する内容を検討している。尺度に関しては、あくまでも自己自身の評価であるが、他者が自分自身をどのように捉えているか、という視点にも注目をしている。複数の保育者が連携、協働する保育現場において、他者がどう自分のことを捉えているか、また他者をどう捉えて対応するか、質的研究で活用する行動コーディングシステムを用いた研究については、協力園の選択、観察内容、項目の検討が不十分であり、3年目に研究に取り組む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策としては、次の3点を検討している。 まずは、心理的安全性尺度保育者版(Japanese version of Team Psychological Safety for Nursery Teacher:JPSNT)を作成し、アンケート調査を実施する。既存尺度である、保育士ストレス尺度、ワークエンゲージメント尺度、WHO-5尺度等を測定し、統計的検討、信頼性、妥当性の検討を行、本研究目標である新尺度を完成させる。その研究成果を論文にまとめ発表、並びに、研究大会等の口頭発表を行う予定である。 次に作成した新尺度を用いたケース研究に取り組む。研究活動としては、行動コーディングシステムを用いた質的研究を行う。協力園の選択、観察内容、項目の検討し、その研究結果と心理的安全性との関連について検討する。さらに、介入前後の比較検討、介入方法の検討も行う。介入方法に関する先行研究レビュー等に取り組み、介入方法についても検討していく。事例研究についても、その研究結果については、積極的に論文投稿及び関連学会での発表を行い、他の研究者との交流により研究を推進するよう努める。
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