研究課題/領域番号 |
22K02484
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
平舘 善明 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (10439292)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 技術教育 / 技術 / 手工科 / 芸能科工作 / 図画工作 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、近代日本教育のなかで「技術」概念が生成・受容されていった経緯を、明治政府成立後から戦時期を経た戦後1950年代までを対象として、①国家政策と直轄研究機関の役割、②文部省法令・教育課程基準・教科書での使用とその文脈、③教育関係雑誌にみられる学校現場での使用と認識の3つのレベルから経年的・重層的にとらえる。そして、その内容と特徴を同時代の米国との比較の視野をもって解明する。現代の技術・職業教育概念の国際比較研究への応用につながる研究である。
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研究実績の概要 |
本研究では、近代日本教育のなかで「技術」概念が生成・受容されていった経緯を、明治政府成立後から戦時期を経た戦後1950年代までを対象として、①国家政策と直轄研究機関の役割、②文部省法令・教育課程基準・教科書での使用とその文脈、③教育関係雑誌にみられる学校現場での使用と認識の3つのレベルから経年的・重層的にとらえる。そして、その内容と特徴を同時代の米国との比較の視野をもって解明する。 本年度は、研究実施計画に基づき、(3)戦前の教育関係雑誌にみられる学校現場での「技術」の使用状況と、(4)占領期の図画工作科の性格づけに関する「技術」の扱いについて、調査し、解明することを試みた。 (3)に関しては、調査の結果、例えば、『手工研究』誌において、「技術」の語の初発は1928年であった。当時は、月に1本ペースで論稿のなかに「技術」の語が使われており、「製作技術」=技能の意でおよそ用いられている。それが満州事変を経た1937年頃には、論稿のタイトルにも「技術」の語がみられるようになる。さらに、第二次世界大戦に突入する1940年以降、その捉え方は、技能の意の他、技術論が話題に挙がるなど、生産技術や機械を対象として捉えている論稿も見受けられる。つまり、技術=軍事技術に集約されていくとの研究計画当初の仮説に対して、直接的にはそうなっていないことが判明した。ただし、機械化国防の文脈で「技術」が語られ、そこには技術と精神の結びつきが語られる論稿が多く、精神主義的であった。また、戦後ではなく、戦前から「科学技術」の語がみられた。(4)に関しては、鍵となる人物である山形寛の戦中の「技術」と「工作」に関わる論稿を、(3)の課題に取り組むなかで、新たに見いだすことができた。 なお、本研究に関するまとまった直接的な研究実績はまだ得られていないものの、研究成果の一部は、学会論文に反映させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記の課題の(4)に関しては、鍵となる人物である山形寛の戦中の「技術」と「工作」に関わる論稿を、(3)の課題に取り組むなかで、新たに見いだすことができた。しかし、GHQ/SCAP文書を用いて、CIE側と山形寛の間での“Fine arts/Practical arts”概念の検討は十分に行うことができなかった。昨年度から持ち越した一部の分析を今年度に行ったこともあり、(4)の十分な調査・分析には至らなかった。つまり、昨年度の分析の遅れを取り戻し切れなかった。「やや遅れている」とした理由である。なお、昨年度から持ち越した一部の分析として、徴発令や学徒戦時動員体制確立要綱、戦時行政特例法には直接的に「技術」の文言が無いことなどが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に得た研究成果および資料を活かして、研究実施計画の内容に、既述の新資料の分析、および仮説の修正を加えて遂行することで、より深いレベルでの課題追求を行っていく。
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