研究課題/領域番号 |
22K02507
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 大阪体育大学 |
研究代表者 |
神山 真一 大阪体育大学, 教育学部, 准教授 (40846531)
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研究分担者 |
出口 明子 宇都宮大学, 共同教育学部, 准教授 (70515981)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | アーギュメント / 小学校理科授業 / 教科書の情報活用 / 教師教育 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,小学校理科の教科書に記載された情報を活用するアーギュメント指導を実現する教師教育プログラムを開発し,その有効性を検証することである。理科教育においては,Toulmin(1958)のアーギュメントが導入されてきた。アーギュメントを理科教育に導入する指導の普及が期待されているが,これまでの実践研究では,アーギュメント指導のために開発された学習問題の設定や実験が行われ,もっとも一般的な小学校理科教科書に記載された情報を活用するアーギュメント指導については検討がなされていない。本研究は,理科教育における科学的な説明活動に関する指導の充実を視野に入れた教師教育に資するものである。
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研究実績の概要 |
2022年度は,第1期の前半にあたり,教科書に記載された情報を活用するアーギュメント指導を実現させるために必要な理論研究を行い,教師教育プログラムのデザイン要素を見出す段階であった。 まず第1期,第1段階として,アーギュメントを小学校理科授業に導入した研究である,神山ら(2015)をベースにデザイン要素を調査したり,日本理科教育学会第72回全国大会や日本科学教育学会第46回年会に参加してアーギュメント構成能力育成に関する情報を収集したりした。また,諸外国の文献・論文からアーギュメントの実践について先行研究を調査した。調査した内容の一部は,日本理科教育学会第72回全国大会のシンポジウムで公表した。 次に,第1期,第2段階として,神山ら(2020)の行った教科書分析の手法とアーギュメント指導のデザイン要素を参照し,全国で採択率上位の教科書会社5社について,小学校理科の教科書分析に着手し始めた。神山ら(2020)は,教科書の情報である科学の文脈の問題解決と教科書内の発展的な情報である日常の問いに対する問題解決の両者で指導できるアーギュメントのバリエーション(McNeill & Krajcik, 2011)が違うことを明らかにしているため,その知見に基づいて,他の教科書会社の教科書を分析している段階である。同時に,教師教育プログラムのデザイン要素を見出すために,文献調査を行い先行研究(神山ら,2015・2016)のデザイン要素をもとに実践を計画している段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教科書に記載された情報を活用するアーギュメント指導プログラムの開発について,次の2点からおおむね順調であると判断した。 第1に,情報収集の面からは,理科・科学教育関連の学会に参加したり,海外の文献を調査したりしつつ,連携協力者や理科教育関係の研究者から助言を受けながら,教科書に記載された情報を活用するアーギュメント指導につながる研究動向を調査することができた。 第2に,神山ら(2020)の教員志望の大学生を対象とした研究を参照して,教科書に記載された情報を活用するアーギュメント指導プログラムを実践するためのデザイン要素を開発し,さらに,授業を構想・実行・評価する教師教育プログラムの試案を事例的に開発することができた。
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今後の研究の推進方策 |
第1期,第2段階として,神山ら(2020)の行った教科書分析の手法とアーギュメント指導のデザイン要素を参照し,全国で採択率上位の教科書会社5社について,小学校理科の教科書分析をさらに行う。神山ら(2020)は,教科書の情報である科学の文脈の問題解決と教科書内の発展的な情報である日常の問いに対する問題解決の両者で指導できるアーギュメントのバリエーション(McNeill & Krajcik, 2011)が違うことを明らかにしている。その知見を参照して,第1期,第2段階では,アーギュメントの各バリエーションにおけるアーギュメントの構成要素(主張-証拠-理由付け-反駁)と教科書に記載された情報のマッチングを行う。さらに,第2期では,第1期の研究をすすめ,教科書に記載された情報を活用するアーギュメント指導を実現させるための教師教育プログラムの実践研究を行う。具体的には,上述した現職教師教育研究を参照して,以下のように独自にプログラムを開発・実行する。プログラムの内容は,(1)アーギュメントの意義や構造を理解する活動,(2)児童のアーギュメントを評価する活動,(3)教科書に記載された情報を活用してアーギュメントを構成させる活動,(4)実践に即してアーギュメントの具体的な指導を理解する活動,(5)授業実施者が自ら教科書に記載された情報を活用するアーギュメントの指導法を実践する活動の5つのプロセスで構成する。(5)の実践授業は,申請者が所属する大学の教育学部で教員志望の大学生を対象に行い,その試案の評価を論文化し,日本理科教育学会に投稿する。
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