研究課題/領域番号 |
22K02509
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 畿央大学 |
研究代表者 |
椎名 美穂子 畿央大学, 教育学部, 教授 (70911676)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 測定 / 測定活動 / 比例的推論 / カリキュラム / データ / 統計 / 任意単位 / 変数 / 思考の促進 / 数学的知識変数 / アイディア / 体験的な活動 / 数学的知識 |
研究開始時の研究の概要 |
我国において,資質・能力の育成に基づいて新設された下学年の測定領域があるが,先行研究では「測定は早い時期に発展する可能性がある」とあり,諸外国においては広範囲の領域となっている。しかし,国内では量感や測定方法の四段階の獲得に留まっており,それ以降の学年に関わる概念の拡大には至っておらず,下学年の狭い学びに収束する懸念がある。そこで,他国の測定領域から得た知見と,学習者の数学的知識の研究(JPSPS科研費21H03923)を基に,測定における体験的な活動を通して生成されるアイディアと,それに関係する変数への着目を生かし,数学的知識の活用促進につながるカリキュラムモデルを開発する。
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研究実績の概要 |
2023年度においては測定の本質と関わる児童による「測定活動」の様相を,教育現場の先生方の協力によって検証授業を行い,分析・考察した.その結果を国内外の学会で発表し,議論をすることができた.検証授業では,下学年にも関わらず,教育現場の先生方の予想以上に下位単位と二量への着目が見えた.また,児童による「測定活動」においては,個々の目的が影響していること,調べたデータを基にして求められた測定値と任意単位との関係,いくつ分(何倍)との関係を探究する意欲にもつながることが見えた.数としての立場からも量を捉え直す必要性,概念の形成過程を捉えるために国内外における割合・分数・比の内容に関した先行研究の考察をしたりする必要性も分かった.そして,割合・分数・比との関連を捉えた実践検証は勿論のこと,理論の整理に関する課題も見えた.研究成果である①Toward a Proposed Curriculum Model for the Concept of Quantity in Elementary Measurement,The 22nd Annual Hawaii International Conference on Education,②長さにおける任意単位による測定活動に関する一考察 -下位単位の採用による比例的推論を促す測定のカリキュラムの提案-,日本数学教育学会秋期大会発表集録(査読有),③測定における比例的推論を促す任意単位の役割に関する一考察,日本数学教育学会春期研究大会創成型課題研究(査読有),④測定領域における数学的な見方・考え方とその成長とは「測定の方法を日常生活に生かす力と数学的な見方・考え方の成長」,新しい算数研究,⑤算数教育の情報最前線「測定のパラダイムシフトへの期待」新しい算数研究といった今後の研究に活用できる5つの論文・雑誌をまとめた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進展として挙げられることとして,学習者自身が目的をもって測定活動を行うことの重要性と,個々の文脈に沿って着目する任意単位を取り上げる活動を行うことによって,高学年の学習に関わる比例的推論,割合,分数,比といった素地を培うことができるといった可能性が見えたことを挙げる.本年度は,2022年度の研究で得られた研究の枠組である測定の本質,測定の原理を基に,協力者と共に授業計画をして実践に取り組み,検証を重ねた.測定に関する学習指導の改善に関しては,任意単位の重要性とユニット化・ノルム化の過程,割合,分数,比との関連性を重視する必要性が見えた.また,諸外国の研究・教科書においては,変数に関わる任意単位に注目した測定活動に関連する事例から,概念形成に重点を置くカリキュラム構成への示唆を得た.下位単位の採用による比例的推論を促す測定のカリキュラムの提案に関する調査授業からは,小学校第1学年において量同士の関係に割合に関する数学的な見方が表出していたこと,分数に関わる下位単位の考え方が表出していたことも確認した.第2学年においては,個々の目的よって,量の情意的な捉えの違いが見え,それが量と数の捉え方に影響することを確認した.このように,測定の学習は,上学年の比例的推論,割合,比の学習と関連するだけでなく,変数への着目力にもつながるため,今後一層,測定の本質と測定の原理に焦点を当てながら,測定における量と数の関係について理論的に整理する必要性が見えた.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,2023年度の研究を基に,下学年における測定活動に関して比例的推論,割合,分数,比といった学習につながる授業実践の検証に取り組んでいく.また,測定活動に注目し,個々の任意単位への注目とその活用の様相の実際について,更に学年を広げて調査を行う.測定における概念の形成過程を捉えるためには,日常生活における量への着目の他に,情意と絡んだ個々の多様な社会的価値観の影響も視野に入れる.そして,測定における個々の多様な量と数の捉えとその関係を更に調べていく.そして,測定の本質・原理が,下学年において比例・割合・分数・比にどのように関わり、どのような素地を培うことが可能なのかを,積極的に国内学会・国際学会に参加して発表を行いながら,情報収集も行っていく.
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