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デザイン行為としての「学校づくり」に関するライン学的考察

研究課題

研究課題/領域番号 22K02522
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
研究機関広島大学

研究代表者

曽余田 浩史  広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (60253043)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワードスクールリーダー教育 / 写生 / アテンションの再教育 / 学校づくり / 素材に随う / デザイン行為 / 学校経営
研究開始時の研究の概要

本研究は、 学校づくりの営みをデザイン行為として捉え、人や組織を取り巻く環境の性質に注目しながら線(生成変化の流れ)に関心を向けるライン学の視点から、デザイン行為としての学校づくりの具体と原理を明らかにし、デザイン能力を育成するスクールリーダー教育の方法論を構築することを目的とする。その目的達成のために、ライン学のデザイン観の理論枠組みの考察、学校づくりの実践者の実践記録の読解と聞き取り調査、教職大学院におけるスクールリーダー教育の方法論の開発と実践的検証を行う。

研究実績の概要

(1)プロセス哲学に依拠して経営戦略論およびマネジメント学習論を展開する経営学者R.チア(Robert Chia)の論を整理し、その観点から「行為しながら思考する」を志向するスクールリーダー教育の可能性と課題について考察した。チアは「建てるbuilding」と「住まうdwelling」の概念をもとに経営戦略を捉える。「建てる」の戦略観は、鳥瞰的な観察者の視点からの地図を用いた「ナビゲーション」である。「住まう」の戦略観は、過去の経験で培かわれたスタイルや感受性を頼りにしながら未知の世界を手探りで進み、機会を求めて隠れた可能性を発見し、出会った状況に適切かつ効果的に応答していく「道を見出す(Wayfinding)」である。この戦略観は、目的を明確にし計画を示し結果を出すといった明確さ、確実さが期待されるので、形の明確な顕在的なものに注意(焦点的なアテンション)を払う。しかし、チアが主張するのは、その背景にある不明瞭なもの、見落とされた可能性に注意(拡散したアテンション)を向ける鋭い感受性を「アテンションの再教育」によって培うことである。こうした観点からスクールリーダー教育を振り返ると、スクールリーダー教育者の指導が「ナビゲーション」や「焦点的なアテンション」に偏りがちであること、実習日誌の指導などに「拡散したアテンション」を重視した「アテンションの再教育」の可能性があることを明らかにした。
(2)「学校づくり」を「素材に随いながら呼応(correspondence)するプロセス」として捉えて、アララギ(短歌)の「写生」の論理から「素材に随いながら呼応する学校づくり」の動態的なデザイン原理を導き出すために、アララギの歌人であった斎藤喜博の学校づくりを検討するとともに、「写生」を「観る働」と「描く働」と捉える論理(金原省吾)からB校長の学校づくりの事例の再解釈を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(1) デザイン行為としての学校づくりやスクールリーダー教育の理論枠組みの明確化のために「アテンションの再教育)」を鍵概念として注目し、その観点から「写生」という概念に着目するに至った。その概念を軸にして、我が国の学校づくりに関する基礎的な視点の明確化を試みて、日本教育経営学会と中国四国教育学会で発表報告することができた。
(2) 聞き取り調査については当初の計画通りには進んでいないが、理論的考察と対応しながら、学校づくりに関する実践者の記録等の資料収集を進めることができた。
(3)T.インゴルドの議論を参考にしながらビジネススクールの目的を「注意attentionの再教育」と捉えたR.チアの先行研究を概観して整理し、その観点から教職大学院におけるスクールリーダー教育の課題や実践的示唆を考察したことを中国四国教育学会で発表することができた。

今後の研究の推進方策

(1)学校づくりの動きの見方・捉え方・描き方などについて、「アテンションの再教育」および「写生」概念に着目した考察を通して、デザイン行為としての学校づくりの理論枠組みの明確化・精緻化を行う。
(2)住まう視点、素材に随う等を大事にしていると思われる(元)管理職や実践者について、学校づくりに関する聞き取り調査および資料収集を行う。
(3)上述の理論的考察、実践事例等を踏まえながら、教職大学院におけるスクールリーダー教育において、学校づくりの動きの見方・捉え方・描き方を現職院生 にどのように指導するか、「アテンションの再教育」の方法論に関する基本的なモデルを構築する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] アテンションの再教育としてのスクールリーダー教育の可能性と課題2024

    • 著者名/発表者名
      曽余田浩史・曽余田順子・金川舞貴子・山本遼・船川結衣
    • 雑誌名

      中国四国教育学会『教育学研究紀要(CD-ROM版)』

      巻: 69 ページ: 420-431

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 学校づくりの動態的なデザイン原理としての 「写生」に関する考察2024

    • 著者名/発表者名
      曽余田順子・曽余田浩史
    • 雑誌名

      中国四国教育学会『教育学研究紀要(CD-ROM版)』

      巻: 69 ページ: 402-413

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 学校を「デザインする」「つくる」「成長する -学校づくりにおける「アテンション」考察のための予備的検討-2023

    • 著者名/発表者名
      曽余田浩史、曽余田順子
    • 雑誌名

      中国四国教育学会『教育学研究紀要(CD-ROM版)』

      巻: 68 ページ: 572-583

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] スクールリーダー教育の「課題研究」を学校にいかに位置づけるか2023

    • 著者名/発表者名
      山本遼、曽余田浩史、金川舞貴子、大空秀文、曽余田順子
    • 雑誌名

      中国四国教育学会『教育学研究紀要(CD-ROM版)』

      巻: 68 ページ: 560-571

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 学校づくりの原理としての 「写生」に関する考察2023

    • 著者名/発表者名
      曽余田浩史・曽余田順子
    • 学会等名
      日本教育経営学会第61回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] アテンションの再教育としてのスクールリーダー教育の可能性と課題2023

    • 著者名/発表者名
      曽余田浩史・曽余田順子・金川舞貴子・山本遼・船川結衣
    • 学会等名
      中国四国教育学会第75回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 学校づくりの動態的なデザイン原理としての 「写生」に関する考察2023

    • 著者名/発表者名
      曽余田順子・曽余田浩史
    • 学会等名
      中国四国教育学会第75回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 学校づくりにおける「環境」概念に関する考察 ~T.インゴルドのデザイン観からみる斎藤喜博の学校づくり(論)に関する試論~2022

    • 著者名/発表者名
      曽余田浩史、曽余田順子
    • 学会等名
      日本教育経営学会第62回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 学校づくりにおける「アテンション」に関する考察2022

    • 著者名/発表者名
      曽余田浩史、曽余田順子
    • 学会等名
      中国四国教育学会第74回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] スクールリーダー教育の「課題研究」を学校にいかに位置づけるか2022

    • 著者名/発表者名
      山本遼、曽余田浩史、金川舞貴子、大空秀文、曽余田順子
    • 学会等名
      中国四国教育学会第74回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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