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近代日本における〈学校用民間教育掛図〉の日欧比較研究ー教科横断的視点からー

研究課題

研究課題/領域番号 22K02527
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
研究機関埼玉県立大学

研究代表者

牧野 由理  埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (80534396)

研究分担者 金子 一夫  茨城大学, 教育学部, 名誉教授 (70114014)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
キーワード美術教育 / 視覚イメージ / 教育掛図 / 美術教育史 / 東京造画館 / 集画堂 / 有稲館 / 美術教育学
研究開始時の研究の概要

教室の壁面や黒板に掛ける視覚教材「教育掛図」は明治初期に欧米から移入された。学校の諸教科に対応した厖大な数量の〈学校用民間教育掛図〉が作成されたにもかかわらず、その実像は未解明である。そこで本研究では、現存する〈学校用民間教育掛図〉の資料を収集・分析し、その発展過程及び独自の性格の検討を行うことを課題とする。あわせて、ヨーロッパの教育掛図と教科横断的に比較検討し、近代日本における〈学校用民間教育掛図〉の実態を解明することで、他教科連携に繋がる視覚像の系譜を探る。

研究実績の概要

2023年度も引き続き日本の〈学校用民間教育掛図〉を対象とし、教育掛図や掛図目録、文献資料の収集を行いつつ、図画科・手工科に関する教育掛図の研究をすすめた。
文部省が明治初期に発行した掛図《線及度図》、《面及体図》、《色図》は米国掛図である《School and Family Charts》を模して製作された。そのうち、《School and Family Charts10 Drawing》では図画を扱っているにもかかわらず、文部省は掛図として翻刻・発行しなかったことが判明した。
昭和15年版『東京集画堂出版目録』の分析から430枚という膨大な数の図画・手工掛図が発行されていたことが明らかとなった。その中には大竹拙三による手工掛図も含まれ、大竹は掛図を使用することで一層の効果が得られると説いていた。当時の図画・手工教員は掛図を製作することを推奨されていたが、実際には掛図製作が困難な教員もいたため、教科書・教師用書に沿った民間印刷会社・出版社から発行された掛図が、図画・手工の授業に不可欠であったことが判明した。これらについて今年度、研究成果をまとめ学会誌(査読付)に投稿し受理された。
また有稲館の大正13年発行「教育図画出版目録」の分析により、高等1・2年用の《新定画教授掛図》が販売されていたことがわかった。東京造画館の明治44年版掛図目録には、藤五代策選《新定画帖教授用掛図》が掲載されていたが、東京造画館では『新定画帖』が出版された直後に掛図を販売していたことが判明した。あわせて岡田秋嶺による《修正国定図画教科書準拠 図案教授用掛図》では、岡田による図画教科書や著作を利用していた可能性が示唆された。以上について、学会で口頭発表しており、2024年度に学会誌への投稿を予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

日本の教育掛図や教育掛図目録、文献資料の収集を行うことができた。また図画・手工科の教育掛図について論文として公表し、有稲館の教育掛図について口頭発表を行うことができた。しかしながら戦前に日本に輸入されたヨーロッパの掛図の状況については調査が不足しており、やや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

2024年度は、図画・手工科に関連する〈学校用民間教育掛図〉を中心に実見調査・撮影・データ化を行い、その特質を明らかにする。とくに明治から戦前にかけて盛んに掛図を発行していた有稲館および東京造画館の掛図目録を対象として、図画・手工掛図の発展過程を整理し分析する。また戦前、日本に輸入されたヨーロッパの掛図について、日本の博物館や大学等で調査をすすめる。あわせてヨーロッパの博物館等で教育掛図の実見調査を行いデータを収集し掛図制作にかかわった画家について検討する。牧野・金子は研究成果について学会で発表し、論文として公表する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 戦前の図画・手工に関する教育掛図研究-文部省および東京集画堂発行掛図を対象として-2024

    • 著者名/発表者名
      牧野 由理
    • 雑誌名

      美術教育学

      巻: 45 ページ: 219-230

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 戦時下図画・工作の美術教育史的位置―通念的戦後像から生産・消費社会像への転換―2024

    • 著者名/発表者名
      金子 一夫
    • 雑誌名

      美術教育学

      巻: 45 ページ: 91-102

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 子どもの論理による美術教育思想の研究3―西野範夫の教科調査官・視学官在任時の思想―2024

    • 著者名/発表者名
      金子 一夫
    • 雑誌名

      美術教育学研究

      巻: 56 ページ: 105-112

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 文部省発行教育掛図《博物図》と《家庭用教育掛図》の研究―加藤竹齋・長谷川竹葉・服部雪齋・最上孝吉・久保弘道・榊原芳野の関係を巡って―2023

    • 著者名/発表者名
      牧野 由理
    • 雑誌名

      国立科学博物館研究報告E類(理工学)

      巻: 46 号: 0 ページ: 1-15

    • DOI

      10.50826/bnmnsscieng.46.0_1

    • ISSN
      1881-9095, 2434-0995
    • 年月日
      2023-12-20
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 明治期における博物・理科掛図に関する研究 -文部省および東京造画館発行掛図を対象として-2023

    • 著者名/発表者名
      牧野由理
    • 雑誌名

      美術教育学

      巻: 44 ページ: 251-262

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 贈与交換システム論的美術教育学における純粋贈与―純粋贈与と無・無意識・自己表出―2023

    • 著者名/発表者名
      金子一夫
    • 雑誌名

      美術教育学

      巻: 44 ページ: 113-124

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 子どもの論理による美術教育思想の研究 2―西野範夫の教科調査官就任前の美術教育思想―2023

    • 著者名/発表者名
      金子一夫
    • 雑誌名

      美術教育学研究

      巻: 55 ページ: 81-88

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 安岡信義と近代日本中等学校美術教育―東京美術学校図画師範科と富山県美術教育を中心に―2023

    • 著者名/発表者名
      金子一夫
    • 雑誌名

      安岡信義1888-1933―近代洋画の黎明期を生きた画家

      巻: なし ページ: 9-14

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 東京造画館および有稲館の図画・手工教育掛図研究2024

    • 著者名/発表者名
      牧野 由理,金子 一夫
    • 学会等名
      美術科教育学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 子どもの論理による美術教育の思想史的研究―「子どもの論理」はなぜ「美術の論理」にならなかったのか2024

    • 著者名/発表者名
      金子 一夫
    • 学会等名
      美術科教育学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 戦前の図画に関する教育掛図研究2023

    • 著者名/発表者名
      牧野由理,金子一夫
    • 学会等名
      美術科教育学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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