研究課題/領域番号 |
22K02544
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
中村 美智太郎 静岡大学, 教育学部, 准教授 (20725189)
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研究分担者 |
竹内 伸一 名古屋商科大学, 経営学部, 教授 (60774487)
鎌塚 優子 静岡大学, 教育学部, 教授 (80616540)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 道徳教育 / ケースメソッド / 探究的な学び |
研究開始時の研究の概要 |
小中学校では「道徳の教科化」が完了したが、接続する高等学校ではそれを発展的に展開するシステムがなく、その刷新と加速が喫緊の重要課題となっている。この課題を解決するためには、高校での道徳教育の実践プログラムの確立と、道徳教育に関わる高校教員の資質の高度化が欠かせない。本研究では、高校教員が道徳教育の展開力量を自ら高められるケース・ブックの形態をとった教材開発を提示する。これを基盤として「探究的な学び」にケースメソッドに基づく道徳教育を導入することで小中での道徳科の成果を高校へと明確に接続し、心のケアを実現する道徳的涵養を可能にする教員の「高度化」を実現する。
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研究実績の概要 |
初年度は、「探究概念の原理的検討と探究的な道徳教育実践の史的検討班」「ケースメソッドに基づくディスカッション・リーダーの高度化・組織化検討班」「「こころのケア」を実現するケース教材開発と協働する教員共同体の形成検討班」の3つの領域・問題群にまたがる研究班を構成し、研究を進めた。ケースメソッド教育・道徳教育・探究的な学びに関する先行事例調査を進めつつ、研究班同士の緊密な連携に基づいて、ケースメソッド教育を組織的に推進することができる教員の「高度化」を実現するための基盤の一端を明らかにしてきた。あわせて、いくつかの高校との連携を進めつつ、高校段階での「探究的な学び」に導入する道徳教育の具体化を目指して、高校での道徳教育の現状調査を進め、義務教育段階での道徳科及び学校全体での道徳教育がどのように接続されたかを明らかにしてきた。道徳科が設置されていない高校で道徳教育を進めるにあたり、その実現可能性を持つ場面を幅広く探りつつ、特に小学校・中学校での「考え議論する道徳」での学びの受容、またそれらの集団形成への影響を中心に問題状況を明らかにすることを試みた。あわせて道徳科が抱える諸課題も浮き彫りにし、小中の道徳教育へのフィードバックの可能性も探索した。さらに、国内外の先行事例の分析を通じて、多様性の共生を実現する心のケアの観点に立った教員研修システムの骨組みを定めるべく、調査を進めた。各班で得られた知見は定期的な研究会を開催して報告・検討を加えながら教材の草案作成を進めた。その成果の一部を含む書籍を刊行し、実践現場への還元と次年度以降の実践的展開の準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「探究概念の原理的検討と探究的な道徳教育実践の史的検討班」「ケースメソッドに基づくディスカッション・リーダーの高度化・組織化検討班」「「こころのケア」を実現するケース教材開発と協働する教員共同体の形成検討班」の3つの領域・問題群にまたがる研究班によって研究を進め、ケースメソッド教育・道徳教育・探究的な学びに関する先行事例調査を進めてきた。小中学校では「道徳の教科化」が完了したが、接続する高等学校ではそれを発展的に展開するシステムがなく、その刷新と加速が喫緊の重要課題となっている。実際、高校の教育現場でも、小・中の教科化で涵養された「考え、議論する道徳」を展開する基盤が整備されていないとの声もあり、道徳的諸価値についての対話・議論を行う明確な場が存在しないという問題が生じていることが明らかとなった。この課題を解決するためには、高校での道徳教育の実践プログラムの確立と、道徳教育に関わる高校教員の資質の高度化が欠かせない。このため、本研究ではまず、高校教員が道徳教育の実践力及び実践の展開力量を自ら高められるように、わかりやすいケース・ブックの形態をとった教材開発を提示することを目指し、当初の計画どおり、これを実現した。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の成果に基づき、次年度も引き続き各班での研究成果を蓄積・検証しながら、検討会・研究会を積極的に開催・参加し、高校における教育現場を中心にしつつ、小学校・中学校での道徳教育との接続可能性を探りながら、理論と実践双方での精緻化を図る。特に、教科での学びと連動し得る教科外での学びの可能性を引き続き探りたい。また、開発した教材集の活用を進めながら、新たなケース教材の開発を行うために、必要なインタビュー調査等を行う。そのためには問題状況のさらなる分析に加え、実践試行の機会を設ける必要もある。教材草稿の完成度を上げ、連携先の学校に勤務する教員や研究協力者に加え、近く教員になる意志のある教職課程履修学生と教職大学院で研究を進める大学院生の協力も得て、教材試行版に高めて実際の教育現場の実践の中で行い、教育現場の評価を受け、改善・修正を繰り返していく。その過程で、遠隔での養成・研修の形態として、より効果的で優れた方法を明らかにしつつ、ICTの積極的な活用についての知見をさらに蓄積していく。教材試行版にまで高める過程で、使用した教材試作版についてのアンケート調査を生徒及び教員に行うことで、ディスカッション・リーダーとしての教師の高度化がどの程度可能かを把握しながら、多様性を包含する集団形成を実現する行動変容の分析に基づく構成要素の明確化を行い、研究成果を多角的に検証していく。これらを通じて、さらに検討を続け、次年度に向けて示唆を得ていく。
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