研究課題/領域番号 |
22K02555
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
鳥海 崇 慶應義塾大学, 体育研究所(日吉), 准教授 (90548265)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 安全水泳教育 / 水難事故防止 / 防災教育 / water competency / safe exit / 安全な離水 / Drowning prevention / Water Safety Education / Water Competence / Safe Exit / 安全水泳 / water competence / 指導法 |
研究開始時の研究の概要 |
Water Competenceは泳力だけではない様々な要素が密接に関係した総合的な能力のことを指す。我が国において一般的な4泳法に代表される水平方向に泳ぐ能力だけ、もしくは着衣泳に習熟しているだけでなく、自身の水泳能力を正確に把握する能力、水辺の環境の安全性を正しく認識し、正しい判断を下せる能力などを含んだ総合的な能力として定義されている。さらに、日本では津波や、ゲリラ豪雨や線状降水帯による水災害といった新しい水難事故が発生している。そこで本研究では、諸外国との比較研究を通じた日本独自のWater Competenceの検討、及び災害防止教育理論の構築とその実践プログラムを開発している。
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研究実績の概要 |
我が国の学校教育における水難事故防止教育に必要な項目を整理し、その中の1項目である「安全に水中から陸上に上がる能力」について調査研究を実施した。 男子大学生 37人、 女子大学生 17 人を被験者とし、 水深2m のプールから高さ0m もしくは 0.3m の陸上 への上がり方を測定した。陸上への上がり方を観察し、どの程度容易に水から上がることができるかを決定した。また、被験者は水着状態と水着にライフジャケットを着用した状態とで測定を実施した。この結果として、水から陸上への上がり方としては、水着状態の方が、ライフジャケット着用状態よりも優位に容易に上がることができた。また性別では、男性の方が女性よりも優位に容易に上がることができた。特にライフジャケットを着用した女性のほとんどが、高さ0.3mの陸上に上がることができなかった。また、陸上の形状が与える影響については、船やボートを模した凸型の形状の場合、水から上がろうとした場合、重力的な安定のため、下半身が船底に潜り込んでしまうため、垂直な壁に比べて優位に低い値を示した。 これらのことから、安全に水中から陸上に上がる能力に関しては、ライフジャケットが与える影響を少なくすることが重要であると考えられる。そのためには胸部の厚みが影響を与えていると考えられることから、今後のライフジャケットの開発の際は、浮力を減らすことなく、胸部の厚みを減らすことが重要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
水難事故防止に資する15の能力としてWater Comeptencyにより国際ライフセービング協会が提唱されており、本研究では そのうちの1つとして「水中から陸上に安全に上がる能力」について調査研究を実施した。当初の計画ではもう一つの「 陸上から水中に安全に入る能力」 についても同様に調査研究を実施する予定であった。しかしながら、新型コロナウィルス感染症の影響により、計画通りに被験者数を増やすことができず、その結果として計画に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では当初の計画通り「 陸上から水中に安全に入る能力」 について調査研究を実施予定である。 また、当初の計画にはなかったが、「 水中から陸上に安全に上がる能力」に優位に影響を与える ライフジャケットについても検討を加える予定である。 これは昨今の 集中豪雨による水災害が頻発している状況から、各所において ライフジャケットの備蓄が進んでいるが、「 水中から陸上に安全に上がる能力」に対して特に考慮しないライフジャケットが広まっており、このことが結果的に多くの人命に影響を与える可能性があるためである。
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