研究課題/領域番号 |
22K02564
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 柴田学園大学短期大学部 |
研究代表者 |
蝦名 敦子 柴田学園大学短期大学部, その他部局等, 特任教授 (20302010)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 空間把握 / 造形遊び / 環境 / 自然素材 / 造形活動 / 造形空間 / 子供 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、①小中学校の児童生徒を対象としたこれまでの考察に基づいて、幼小連携の在り方を視野に置き、その検討対象をさらに未就学児にも広げる。②小学校教育の礎は幼児教育にある。幼児は小学校とは異なる教育環境にあるが、環境と空間の問題に焦点を当て、幼児がとくに造形空間とどのように関わるのか。すなわちその要素である視点、距離、方向を関連づける力がどのように発達するのか、を明らかにする。それを「造形的な空間把握の発達過程」と概念化したい。③これまでの研究成果を基に、人間が生まれてから義務教育を終えるまでの期間に今回、新たに着目する。子供の造形的な空間把握における系統的発達を、包括的且つ全体的に捉える。
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研究実績の概要 |
本研究の1年目は、幼稚園教育の「環境」と、「表現」の分野に注視した考察である。0歳~3歳、3歳~5歳児の保育と幼稚園の実態、周囲に関わる彼らの活動の観察が中心である。実習などの訪問を通して、観察する一方で、2か所の保育園、幼稚園で造形活動を実践した。後者のS幼稚園での実践は、今後、資料として検討する段階である。J保育園での実践は、小1の造形遊びと比較考察して、次の論文にその考察をまとめた。 1.「5歳児の造形遊び―紙を丸めた棒を使って―」 5歳児に同じ材料を使って造形遊びを行い、小1を対象として実施した造形遊びと空間把握の問題について比較考察した。ここでの空間把握とは、造形活動をしている際の周囲との関わりを指す。共通点は、共に造形活動に夢中になって取り組む点であり、相違点は造形物の形状の大きさや広がりと、周囲の場所への働きかけの違いである。小1の児童には造形活動とともに「場所の空間」に対する意識が働いていたが、5歳児は作ることに夢中で、そこまでの活動は見られなかった。幼児期の造形活動と場所の空間認識という新たな考察の視点が得られた。 また、短期大学部の環境整備を通して、環境の視点から考察しており、その成果は以下の論文にまとめられた。 2.「環境と造形活動に関する一考察―中庭整備プロジェクトを通して―」昨年から授業の一部に取り入れた本プロジェクトの2年目の展開を振り返った。新たににベンチ製作を行い、学生の約8割に良い体験として受け入れられた。その後の後期の授業で、「収穫」をし、さらに造形活動の教材として校庭の自然物が用いられた。身の回りの環境から自然への興味関心を高める題材に、造形活動の導入は相乗効果のあることが確認された。自然の環境整備と造形活動の融合した、新たな教材化という視点が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナの影響もあり、保育園や幼稚園での実践活動は十分にはできなかったが、そうした中、附属の幼稚園や市内の保育園の2か所で、当研究に関する実践を行うことができた。コロナ禍の状況を考慮して、ワークショップの実践は差し控えた。
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今後の研究の推進方策 |
幼児の造形活動については、なるべく多くの実践データが得られるように、さらに研究実践を増やしていくつもりである。保育園や幼稚園を訪れて、実際に未就学児を対象とした実践を継続していく。また、環境の異なった場所でのワークショップも行う予定である。 一方、短期大学部の「環境」に関しては、「中庭整備プロジェクト」を継続していくことになる。学生が保育士や幼稚園教師となる観点から、環境整備を通して、幼児が過ごす園の「環境」の問題を実践的に考察していくことになる。とりわけ「身近な自然の環境整備と、造形活動が融合した教材化」に焦点を当てながら、造形空間の問題について検討していく。
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