研究課題/領域番号 |
22K02571
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鈴木 明子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (90220582)
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研究分担者 |
梶山 曜子 広島文化学園大学, 学芸学部, 講師 (50781259)
村上 かおり 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (80229955)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 家庭科教師 / 生活主体者 / 能力 / 地域連携活動 |
研究開始時の研究の概要 |
鈴木らが行った全国調査(2019)では,家庭科独自の文脈の学びを可能にする教員養成カリキュラムの検討例は少ない。このような背景と問題意識に鑑み,2014年から現在まで所属大学の家庭科教員養成カリキュラムの検討,改善を続けている。本研究では,その改善をさらに推し進めるために,教員養成に係る大学教員,現職家庭科教員および教員養成課程で学ぶ学生が協働し,行政機関と連携して,生活主体者としての能力を向上させる地域連携活動プロジェクトを構想,実施し,その有効性を検証することを試みる。このアプローチは,教員養成に留まらず現職家庭科教員研修を含む教師教育の探究でもある。
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研究実績の概要 |
2022年度は,6~11月に「のん太の家庭科室」(親子ものづくり体験講座)を計5回実施した。学生の参加延べ数は72名であった。その中で,大学生スタッフを対象に,講座を企画・運営・実践した経験が,自己の生活者及び教員としての認識に及ぼした影響を問う調査を実施した。また参加した現職家庭科教員に講座が家庭科授業に及ぼす影響について問い,成果と課題を分析した。 また,日本教育大学協会全国家庭科部門の助成申請を行い採択された。(「教員養成課程在籍学生による地域連携活動経験の有効性」2023年度,代表:佐藤ゆかり,共同研究者鈴木明子他7名)これにより,全国の家庭科教員養成課程における地域連携活動の実態を明らかにする準備を整えた。 さらに,プロジェクトに中心的立場で関わった学生は,鈴木と村上による指導で,卒業研究,修士論文研究(「コミュニティ・スクール構想における家庭科教育の役割に関する研究-地域への愛着形成を目的とした体験講座の実践から-」「東広島市の地域イベントの実態と参加者の“つながり”への認識に関する研究 」など)の中で本テーマを追究させ,学生の変容を捉えた。 現在の成果として,学生スタッフは講座の実践が自信につながり,ものづくりや地域連携活動への意欲が高まり,家庭科授業が地域とつながる重要な機会になることに気づいていた。また,生活の見方が俯瞰的になり,生活主体者としての認識及び実践への意欲が高まるとともに,地域や地域の人々との関わりが積極的になったと思われる。家庭科教員は教員養成における講座への関わりを肯定的に捉え,地域や学校の実態に応じて外部機関との連携を図る中で地域貢献の意識を高めることが重要であると考えらるようになってきている。これらの成果は,日本家政学会第75回大会(2023年5月28日:於東京家政大学)にて報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者らは,2014年から現在まで,所属大学の家庭科教員養成カリキュラムの検討,改善を続けてきた。その一連の研究の中で,改善されたカリキュラムや授業の検証を行った結果,生活の成り立ちとその変化を捉える視点をもたせること,および変化する教育課程の中で,生活者育成に係る教科の枠組みの重要性を理解させることがカリキュラムの要件であるという認識に至った。このような成果は得られたものの,教科の本質の理解や重要性に対する組織教員の共有には課題があり,教員養成カリキュラムの一環として行われていたはずの地域の生活課題を追究する活動が,目的や目標を見失った地域連携活動に終始している側面も見られる。 このような課題を解決すべく,2022年度は,身近な家庭生活支援や子育て支援を目的とした地域連携活動を継続し,その成果,効果を分析する一方で,家庭科教員に求められる資質・能力の追究を行った。家政教育を専門とする立場から,地域連携活動をどのように捉えるのか,他大学での取り組みの知見を得る環境を整えた。また,卒業研究等の中で異世代間交流プロジェクトとの教育的効果を検証する準備も整えた。以上のことから,「おおむね順調に進展している」と考えている。今後も継続して,プロジェクト内容や方法を更新し,家庭科教員としての資質能力の変容との関係を追究する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次の3点からの検討を継続して同時に進め,プロジェクトの効果をスパイラルに検証し,改善する。 ①家庭科教員養成カリキュラムにおける地域連携の現状に係る情報収集と課題の再整理情報収集は,研究協力者の協力を得て鈴木が主に行う。 ②プロジェクト案の構想と実践,分析・検証 ①の再整理に基づいて,プロジェクトの目標,内容,方法を検討し構想する。実践は,大学院生と学生が行い,その指導は主として村上と梶山が行う。成果の検証方法は,学生および教員自身による自己評価と研究代表者らによる客観的評価に基づいて,家庭科教師に求められる資質・能力の変容を質的に捉えることとし,常に改善案の構想に反映させる。 ③最終年度には①②の成果をまとめて総括を行う。研究成果は日本家庭科教育学会,日本家政学会等において発表するとともに,全国の教員養成大学に発信する。
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