研究課題/領域番号 |
22K02596
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
日高 智彦 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (60803921)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 歴史教育 / メタヒストリー / パブリック・ヒストリー / 関東大震災 / 歴史総合 / メタ・ヒストリー |
研究開始時の研究の概要 |
学校において歴史を学び、語るという行為は、国民国家とその暴力を正当化することもあれば、このような正当化の批判的な克服に寄与することもある。後者の可能性を広げることが、より公正で民主的な社会の発展のために求められている。 本研究は、上記の課題に対して、関東大震災における朝鮮人虐殺に関する高校「歴史総合」の授業・教材の開発に取り組むことで、学界ではなく社会において評価が分かれる歴史を市民が記念する歴史教育論を確立し、歴史を学び、語るという行為(歴史実践)を市民性教育に位置づけようとするものである。
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研究実績の概要 |
関東大震災における朝鮮人虐殺の歴史教育を事例として、学界ではなく社会において評価が分かれる歴史を市民が記念する歴史教育論を確立するために、研究2年目は、研究1年目に進めた関東大震災における朝鮮人虐殺に関する高校「歴史総合」の授業案をもとに、これを実践面においてさらに具体化する方向の研究と、それを歴史教育論として理論化する方向の研究に取り組んだ。 2023年は関東大震災から100年の節目の年であり、これを記念する様々な企画(出版、展示等)が各地で行われたが、当研究にとってはそれらの企画から学ぶだけでなく、企画自体を研究対象とすることも重視した。そうしたなかで、学界のみならず市民社会において、東日本大震災以後の各地における「防災」や「復興」の観点から関東大震災史が参照されていること、そして現代日本社会の多文化社会化や未来における多文化共生を見据える観点から、植民地支配の歴史の一部として関東大震災(における朝鮮人虐殺)史を振り返るという歴史意識が着実に芽生えていることを確認することができた。一方、各地の「歴史総合」担当教員へのインタビューや授業参観からは、関東大震災(における朝鮮人虐殺)が「歴史総合」の教材と位置づいていない(=教科書には記載されているが、授業で取り上げられづらい)状況が見えてきた。 こうした成果をふまえ、昨年度に開発した授業案の一部を、教師教育への問題提起という観点からまとめ、「近現代史教育の教員養成―国立教員養成大学における取り組み事例からの問題提起」(『近現代史教育研究会論集』第3号)として発表した。この教材としての実現可能性という観点から、協力を依頼した高校教員からのフィードバックも得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教材開発のための文献資料の収集・読解や、各地における関東大震災記念企画の訪問等を通じた基礎研究については、おおむね順調に収集や調査を進めることができた。 「歴史総合」の授業観察や、学会等での実践動向の把握についても、新型コロナウイルス感染症による移動や参観の制限も解除されてきており、また協力者によるwebでの参観やインタビューも含め、おおむね順調に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究3年目は、研究2年目の発表に対するフィードバックをふまえ、研究成果の完成に向けて活動する。物品費は、その基礎となる文献等の購入を主とする。旅費は、授業研究等のため、その他は関連諸学会への参加費として使用する。
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