研究課題/領域番号 |
22K02597
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
時得 紀子 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (30242465)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 音楽科授業 / 教科等横断的 / 創作活動 / 総合表現活動 / 授業プログラム / 協働創作 |
研究開始時の研究の概要 |
教科等横断的な学びが国際的に推進される中、世界各国が注力するSTEAM教育においても、音楽科の参画は進んでおらず、授業モデルプランの提示は喫緊の課題である。 本研究は先行科研において収集した、日本・米国・豪州・スイスでの音楽科と他教科・領域が関わる、豊富な実践モデルをリソースとする。これらを比較検討し、日本の小・中学校での活用に向けた授業プログラムの開発に取り組み、その有効性についても検証する。 プログラムは活動のタイプ別に構築し分類する。多くの教科等が横断的に関わるモデルには、音楽の学びを幅広く生活や文化の視点から捉え、人間や社会などをテーマに協働創作に取り組む、総合表現活動などがあげられる。
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研究実績の概要 |
7月に開催されたISME 2022国際音楽教育学会 豪州大会(オンライン開催)では、テクノロジーと音楽教育の部門の発表者との討議を重ねた。その際、音楽制作ソフトを使った授業に取り組む国々の報告から、テクノロジーを活用した、新しい創作活動のアプローチに示唆を得た。これを契機に、先駆的な実践に取り組んでいるニュージーランド(以降、NZ)の2都市(オークランド市、クライストチャーチ市)の公立および私立の小、中、高等学校、大学を訪れた。NZでは、国家レベルで、テクノロジーを活用した多彩なジャンルの音楽の創作活動や、生徒による自主演奏会の催しを80年代から支援し続けていることがわかった。 イギリス(ロンドン市内、ロンドン郊外、カンタベリー市 他)への現地調査にも赴いた。ドイツのAbleton社による、音楽制作ソフトなどが多数使用されており、NZでもそうであったように、ベテランから若手の教師までが最新のテクノロジーを活用した創作活動に携わっていた。また、どちらの国もクラシックのみならず、ポピュラー音楽の指導にも携われる教員が少なくなく、各教員の自由な裁量で授業づくりが行われていた。教科等横断の実践では、音楽、演劇(国語)、ダンス、音楽創作ソフト(Ableton Live)を活用した、総合的な芸術の舞台表現(中学生によるミュージカルの全幕上演など)が試みられていた。 現在は、収集した授業実践を系統的に分類し、質的な分析を進めている。 今年度は、主に2つの国際学会において成果発信した。北京師範大学主催の教師教育学会 (2021年オンライン開催) において、既に研究成果の一部を発表していたが、このほど2編の発表論文が2022年3月に出版された。2022年7月開催のISME国際音楽教育学会 豪州大会において、2つの口頭発表並びに2編の投稿論文が採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度、海外の現地調査に赴くことができたことは、大きな進展であった。その契機となったのは、国際音楽教育学会での口頭発表から得た、海外の新しい音楽教育の動向、音楽創作ソフトを活用した創作活動の取り組みであった。この情報を得て、実際にオセアニアと欧州に赴いた。これらの調査を行った現地での授業映像、インタビューなどを資料として、現在まで順調に分析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は、海外の調査に赴くことが可能になったことを受け、現地での授業実践の収集、インタビュー調査、各学校独自のカリキュラムの情報などを得ることができた。これらの資料への質的な分析に今後も継続して取り組んでいく。 昨年度可能となった、オセアニア、欧州での現地調査を踏まえて、今後は、アジア地域の先駆的な実践も比較対象に入れる計画であり、シンガポールなどの候補が可能であれば、現地調査を推進する方策である。また、世界各国が注力する、STEAM教育のワークショップには国内外において参加することで、本研究に活かす情報の収集に努めたい。
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