研究課題/領域番号 |
22K02624
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
細川 美由紀 茨城大学, 教育学部, 准教授 (70434537)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 英単語 / 読み / 認知処理 / 動機づけ / 中学生 / 英語 / 読み習得 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,小学校高学年の児童と中学生を対象として,英単語の読み習得に影響をおよぼす背景要因のうち,日本語の読みと認知処理,英語学習に対する動機づけの3点に注目して明らかにすることを目的とする。2022年度には小学生を対象とした調査を、2023年度には中学生を対象とした調査を行う。以上の調査から、英単語読みに影響をおよぼす背景要因は、発達にともないどのように変化するのかについてまとめ、2024年度には研究成果を学会誌等で公表する。
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研究実績の概要 |
2023年度は,中学生における英単語読みスキルと音韻処理の関連性について検討を行った。中学1年生の生徒49名(男子26名、女子23名)を対象とし,英単語読み、色名を英語で呼称するRAN、英単語を用いた音韻削除の3課題を実施した。英単語音読課題得点を従属変数,その他の課題得点を独立変数として重回帰分析を行った結果,親密度が高く音韻規則性が低い英単語音読の得点を従属変数とした場合において,RAN課題の反応時間の標準偏回帰係数が有意であった(β=-0.36, p<.01)。なお,この回帰式全体の説明変数(R2)は0.19で,有意であった[F(2,46)=6.46, p<.01]。さらに親密度が低く音韻規則性が高い英単語音読の得点を従属変数とした場合において、RAN課題の反応時間(β=-0.32, p<.05),ならびに音素削除課題得点(β=0.43, p<.01)の標準偏回帰係数が有意であった。なお,この回帰式全体の説明変数(R2)は0.29で,有意であった[F(2,46)=10.95, p<.01]。これらの結果から、RAN課題の成績に反映されるような音韻処理の自動化能力は英単語の属性に関わらず,英単語読みスキルに影響を及ぼすことが示された。一方で親密性が低い英単語を正しく音読するためには,音素レベルでの音韻意識が重要な役割を担うことが示唆された。 以上の知見より,昨年度実施した小学生を対象とした検討も踏まえると,音韻処理能力は母国語の読みだけでなく第二言語である英単語の音読にも影響を及ぼすことが明らかになった。このことは,英語の読み困難における早期発見・早期対応における重要な資料となりうることが期待されるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究2(中学生における英単語読み能力の背景要因に関する研究)において計画していた,英単語読み能力と動機づけとの関連についての調査を実施することができたものの,分析が十分になされていない。加えて,調査実施に関する時間的な制約のため,認知能力の中でも形態素意識や視覚認知に関する課題が実施できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度においては,中学生を対象とした調査結果について,英単語読みの習熟度について,その背景にある認知処理や動機づけにおける影響はどのように変化するのかについて検討する。また,これまでの小学生および中学生を対象とした調査より得られた研究成果を学会誌に投稿する。その中で,読み困難の背景に即した支援の在り方についても言及する。
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